NECフィールディング

部長層の研修を始めとして、数々の階層別の社内研修でJMAをご利用いただいているNECフィールディング様。人材育成の前提となる組織風土変革の取り組みや、階層別研修の体系と今後に向けた課題について同社訓練本部長の小林様、同部本部長代理の松岡様にお話を伺いました。聞き手は日本能率協会(JMA)早川和秀、副島一隆です。(本文中敬称略)

組織風土の変革に向けた取り組み~

(早川)
最初に、お二人のお仕事の内容からお伺いしたいと思います。現在、どのようなお立場で、どのような仕事をなさっていますか。

(小林)
2019年4月に訓練本部長に着任しました。
訓練本部は全社事業戦略の遂行・達成ができる人材を育成するため、全社人材育成方針の策定から役割に応じた研修体系の構想と、具体的な研修内容を企画して実施しています。
社員一人ひとりが今求められている役割を果たし、将来自分のキャリアをどう積み上げていくか、合わせて、モチベーションの維持向上の仕組み構築が訓練本部のミッションです。

(松岡)
2013年に人事部より訓練本部に異動し、6年目になります。
当初は、マネージャーとして、階層別研修やヒューマン系教育を主に担当していましたが、現在は本部長代理として全社の人材育成全般に関わっています。個々の研修については約50名の担当者に任せていますが、2016年から本格的にスタートさせた管理職向けの研修については、私自身も担当しております。

(早川)
それではまず、教育体系についてご説明いただけますか。

(小林)
本年度の教育の大きな柱としては3つで、人材教育と営業教育、技術教育です。
人材教育の中心である階層別研修では、トップマネジメント層、部長層、課長層の研修などそれぞれの立場に応じたカリキュラムを組んでいます。管理職ではない主任や担当クラスの研修も年間を通じて実施しています。

(早川)
経営トップからは、教育に対してどのような期待がありますか。

(小林)
当社はNECグループ会社として、これまでICTサポートサービスを主な事業領域としてきましたが、最近ではIT以外の領域にビジネスを拡大しています。また、NECからの受託だけでなく、私たち自身で新しい事業を創出する取り組みも進めています。時代の流れとともに仕事のやり方や事業そのものを変えていく必要があり、そのためには企業風土・文化も変えていかなければなりません。
また、本年度は中期計画の最終年度になりますので、これまで進めてきた改革を確実に成果に結びつけることが求められます。そのためには、教育も今までと同じやり方ではなく、様々な部分を変革しようと計画しています。特にマネジメントや組織力の強化が経営トップから期待されている部分です。
会社としての風土や文化を変えていくためには、個人の意識や行動から変えていく必要があります。この企業風土・文化を変える全社の取り組みを「ReStyle」と呼び、我々も育成テーマの一つに掲げて活動しています。

(副島)
どういう意識や風土に変えようとしているのですか。

(小林)
まず、私たちがどう変わっていきたいかというと、「自分で考え行動する」「失敗を恐れず自らの目標に挑戦する」「チームメンバーを信頼し連携する」という思考・行動です。

(副島)
それは社員のみなさんで議論したなかから出たことですか。

(小林)
そうです。そして、このありたい姿に向けて会社を変えるにはまず、自分から変わっていかなければならないと考えました。
今後は、一人ひとりが「ありたい姿」に向かって少しでも変わっていくという意識と風土に変えていきたいと思っています。ただし、1人でやるには限界がありますので、チームの仲間を信頼し、一緒に取り組んでいきたいと考えています。そのためには仲間を信頼し、感謝する気持ちを持つことが大切です。
ここから始めていかないと会社を変えることなどできないと考え、活動を進めているところです。

(副島)
意識や風土というものはすぐに変わるものではありませんし、変わったかどうかの判別も容易ではありません。本当に難しいものです。

(小林)
ReStyleは特別な話ではありません。一人ひとりが気づいたことから進んで行動に移すことです。会社から「これをやろう」と提案されたとき、特別に何かをしなければならないと思う人もいるでしょうが、そうではありません。今やっていることを自分で工夫してみたり、何か分からないことがあればいろいろな人に相談したりするところから変えていけばいいのです。

(副島)
具体的な取り組みを教えてください。

(小林)
2017年度下期から、変革へのモチベーションの高いメンバーが集まってディスカッションを始めました。昨年度からはReStyleの運動を全社に広げるため、キーとなるメンバーを中心に動いてもらっています。本音で言い合える環境を作るため、年代別にチームを編成し、各拠点へ出かけて意見交換を重ねています。
例えば、20代のチームが北海道へ行ったとすると、近辺にいる20代の社員を集め、意識や行動を変える仲間を増やす運動を広めていくわけです。同じ年代だと話しやすいでしょう。そうした活動を昨年度、全国に展開しました。今も継続中です。

管理職向けの研修の体系

(早川)
続いて、管理職研修についてお聞きします。
企画した背景についてお聞かせいただけますか。

(小林)
ハードウェアのサポート市場というのは、ずっとマイナス成長が続きこれからも縮小することが予測されています。更に、IoTやAI化の進化によって顧客の要望は高度化し、複雑化してきました。今までのやり方だとどうしても対応できなくなりつつあるのです。しかも、今後人口減少で働き手が減るうえ、高齢化も進みます。人が減り、高齢化する中、どうやって社員をマネジメントし、パートナー会社と連携して、顧客の要望にお応えしていくかが今後の課題になってきています。
こうした背景もあって、管理職のマネジメントを含めた組織力を高めることが大きな課題になってきました。このため、2016年に管理職向けの研修体系を構築し、年に1回の集合研修を開いています。

管理職研修は4段階に分けてすすめています。
1段階目は、管理職に昇格した時点で管理職としての期待や動機付けを理解してもらいます。
2段階目は、昇格後にいろいろな現場でリーダーシップを発揮するための思考の軸を固めてもらいます。
3段階目は、更に進んだ段階でマネジメントの強化と部下育成力を高めてもらいます。
管理職でもベテランになった段階で環境変化に対応できるスキルを身に着け、自らが率先して変革を進められるようにすることが必要です。

(副島)
昇格時に一度研修したあとは、教育を受ける機会が極端に少なくなる企業が多い中で、御社の取り組みを見ていきますと、マネジメントを大事に考えていることが教育体系によく表れていると思います。

(松岡)
同じ部長級でもスタッフ部門、保守部門、営業部門では役割が違います。やらなければならないことが異なりますから、研修内容も違ってきます。
一段部長(事業部長)は決断が重要ということで今年の研修はその判断軸を強化するため、ハードな内容にしました。

(早川)
2016年に管理職向けの研修体系を構築されましたが、当時の状況をお聞かせください。

(松岡)
現在のような体系的な研修を作る前は、新任管理職教育としての昇格時研修が中心でした。ですから、体系的な教育を作り上げるのには時間と労力がかかりました。日本能率協会様にも、いろいろとご相談させていただきました。また、弊社の役員と共に日本能率協会様主催のリベラルアーツ講座に参加し、管理職にはこういう教育も必要ということで、リベラルアーツをリーダー層の教育内容に加え、思考と判断軸の醸成を中心と構築しました。

(副島)
リベラルアーツを階層別に行う企業は多くありません。そういう事情があったのですね。

管理職研修の今後

(早川)
この4年間で、受講された管理職の方々の意識や学ぶ風土の観点で何か変化を感じていますか?

(松岡)
何より感じているのは研修の時期が近付くと自然にみんなの意識が高まっていくことです。
「この時期になったから、そろそろ研修だな」と。私たち運営側からすると研修が定着してきたということになります。それは大きな成果といえるでしょう。「参考になって面白かった」とか「新たな発見が出来て良かった」という声も、受講者から聞こえるようになりました。最近では「次回はこんな研修を受けてみたい」と言ったリクエストの声も聞こえます。
今後は、研修で学んだことを業務にどう活かしていくのかという課題は残りますが、研修で学ぶことが定着し、研修への欲求が高まった事は会社にとって良い文化だと思います。

(早川)
研修中に携帯電話で呼び出され、途中退席する人も見かけません。研修の重要性や必要性を事務局の皆様がしっかりと伝えてらっしゃるからだと思います。

(松岡)
ありがとうございます。皆が研修を楽しんでいる証拠だと思います。
全国から同じ立場の同士を集めて、宿泊型研修にしていることも大きな意味があります。

(小林)
全国の同じ階層の人達が一度に会う機会は滅多にないものですから、年に1度でもみんなが集まると、いろいろな話ができます。情報交換ができるほか、懇親会などでお互いの悩みも聞けます。

(早川)
小林さん、松岡さんとも一段部長研修、一段部長代理研修の受講対象者です。
受講者として参加し、特に印象に残ったことはありますか。

(小林)
講師の方はいろいろな経験をされているので、講話の内容に説得力があり、こちらも腹落ちできます。非常にためになる研修で、毎回、楽しみにしています。多くの受講者は、普段、外部の方から話を聞く機会がありません。
組織の長になりますと自分の思いで組織を動かすことがあります。違う業界で活躍されている方の話を聞くことにより、今のやり方でいいのかを振り返ることができて、とても良い機会だと思います。

(早川)
松岡さんはいかがですか。

(松岡)
講師の方の話の一つひとつに言葉の重みを感じています。今年の研修でも、ゲスト講演者として、他社の経営者にご講演いただきましたが、そのなかで、『スピード』というキーワードがありました。「自分自身のスピード=組織のスピード」という話は、過去に経験されたことの具体例をもって話をされていたので非常に強く胸に刺さりました。
リベラルアーツのテーマでご講演いただいた思想家の方からは、最も根底にある人間形成の重要性を説いていただきました。過去の偉人の素晴らしさは現在でも通用します。そういう刺激を感じられる講師が登壇してくれることに感謝しています。
引き続き、本気で勉強しようという気になりますね。

(小林)
今年の一段部長代理研修では、受講者間の壁を取り払うために、ファシリテーターの講師がジェスチャーやボディランゲージを積極的に取り入れていました。又、頻繁に席替えし、いろんな人と打ち解けて話せる環境づくりに気を配っていただきました。このやり方はとても良かったと思います。
今は仕事中でも研修時でやったようにメンバーとハイタッチしています。心が開放的になります。ハイタッチをしてから話すのとやらずに話すのでは、内容が変わってくるのでないかと思います。自分が心底思っていることを吐き出させるのに効果的な手法と感じています。

(早川)
研修で学んだことを、管理職自らが職場で実践していくと、周りのメンバーにも良い影響があるのでしょうね。
そんな管理職研修を、今後はどういう方向に発展させようとお考えですか。

(小林)
会社はこれから変革を進めていかなければなりません。そのためには今までやってきたことを繰り返すだけではだめです。会社や自分の組織を変えていける組織長、変革に向けたリーダーシップを発揮できる人材を育てたいと考えています。

(松岡)
私は大きく分けて3つ考えています。
1つ目は、いかに自分の役割や立場を理解させ、事業の成長につなげるかです。この点をきちんと研修で考えてもらいたいと思っています。
2つ目は、マネジメントの基本である組織や人、業務、リスクをどう管理するかです。
まだまだ当社の管理職には足りない部分があると思いますから、足りない部分を補う役割を研修に求めているのです。良いマネジメントができる人材を育て、良いリーダーシップを発揮してもらうことが、私たちのミッションだと思っています。
3つ目は、一段部長、一段部長代理の層は、近々、経営層になる人材ですから、テクニックだけでなく、人間力を身に着けてもらう必要があります。それをどうやって身に着けてもらうかが、私たちの大きな役割です。
思考やものの見方は結局、その人の価値観につながるものです。その価値観をどう醸成するのか、そして健全な判断を下せるようになってもらうのか、非常に漠然とした課題ではありますが、そのヒントを研修で提供したいと考えています。

これからの人材育成に向けた展望

(早川)
私どもといろいろとご支援させていただいていますが、日本能率協会に対する忌憚のない意見をお聞かせください。

(小林)
私は4月から訓練本部に移ってきましたが、その前から日本能率協会様には多くのご支援いただいております。私たちが希望するテーマの研修内容をお伝えすると、それに見合う講師をアテンドした研修内容を企画して、期待に応えていただいています。
これは豊富な講師陣を揃えているからこそできることなのでしょう。
今回の講師も非常に有益な話をしてくれました。

(松岡)
ゲスト講演者は自分の体験談や考えを話されますが、それが聞いている私たちにどう刺さるかが重要になるのではないでしょうか。
また、研修全体のファシリテーターは、役割が難しいと思います。研修が成功するかどうかのカギを握っているといって良いでしょう。その場で受講生が心を開いたり、気持ちを入れ替えたりすることができたら、吸収できることが随分違ってくるはずです。
受講しているとその点がよく分かります。今後も、目的に応じた講師のご提案をお願いしたいです。又、最近のトレンドテーマや新しい教育方法、考え方などを発信していただければ、当社でもぜひ取り組んでみたいと思います。

(早川)
引き続き情報提供に努めさせていただきます。

最後に、御社における今後の人材育成の展望をお願いします。

(小林)
先ほどから申し上げている会社の変革を支える人材を育成することです。
それと、異業種交流の要素を取り込んで教育を展開したいと考えています。違う会社の組織の長(組織のトップ)と接点を持ち、交流したいのです。きっと新しい気づきや発展がたくさんあるのではないでしょうか。訓練本部としてはそういう機会を持てるよう努めていきたいと考えています。

(松岡)
これだけ技術が進歩する中、人間自体も変わってきています。マネジメント層もしかりなのですが、結局のところ時代の変化に合わせて自分たちが変わっていくしかないでしょう。
目先のことを考えた研修も重要かもしれませんが、1年後や3年先を見越した人材育成が必要になってくると考えています。

(副島)
共感します。事業の将来像に合わせて必要なスキルや能力も変わっていきます。今必要なものだけでなく、将来必要なものについて、今から教育していくことはとても重要だと思います。

(小林)
それともう1つは研修して職場へ戻ったあと、研修で感じたことや学んだことを実践してほしいと考えていますが、それができるようにフォローしていきたいと思っています。
本人だけでなく、周囲の上司や同僚に確認し、同時にできるだけ壁を取り除いて活動の後押しをしてあげたいのです。

(副島)
研修の前後にどのような仕掛けをつくっておくかは、研修を効果的にするためのポイントだと思います。他の企業も似たような悩みを抱えているでしょう。それを解決できるソリューションを提供できればと思っています。

(早川)
今回の一段部長代理研修では、研修の最後に、受講者の一人として参加された松岡さんが、小林本部長の代わりに、事務局代表として締めの挨拶をされました。本研修の目的を再度、確認した後、2週間前に開催した一段部長研修の状況とその位置づけを説明し、「みなさんも、職場に戻られたら、上司の方ときちんと話しあったうえで、この研修を活かしてください」と締めくくられたのは、本当に素晴らしかったです。

(松岡)
実は、ここが一番大事な部分だと思っています。職場に戻ってから、「こんな勉強をしてきた」と上司、メンバーにしっかりと話をして、皆で共有しお互いに高めあって欲しいのです。
社内で学ぶ風土(研修の風土)が自然とできれば最高ですよね。

(小林)
個人とチームが学ぶことを習慣化し、それを応援する風土の醸成と仕組みづくりが必要になります。

(早川)
引き続きいろいろとご支援させていただきます。
本日はありがとうございました。

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