社会性の高い組織と大胆な投資配分へのシフトがイノベーションを開花させる1 ~経営課題調査からみる、日本企業のイノベーション力とKAIKA経営~

日本能率協会(JMA)では、企業が抱える経営課題となるテーマを明らかにし、これからの経営指針や施策の方向性を明確にすることを目的に、1979年から、企業経営者を対象に、企業経営課題に関する調査を実施している。
今年度は2017年8月に実施し、337社からの回答を得た。本稿では、そのなかから、「イノベーション力とKAIKA経営との関係」に着目して紹介する。

「2017年度(第38回)当面する企業経営課題に関する調査」概要

調査時期2017年8月7日~25日
調査対象一般社団法人日本能率協会の法人会員ならびに評議員会社1,319社、及びサンプル抽出された全国主要企業2,141社の経営者(計3,460社)
調査方法郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)
回答数・回収率回答数337社・回答率9.7% (回答企業の概要は15ページに記載)
調査内容①企業概要 ②経営全般に関する課題認識 ③事業変革の方向 ④市場開拓と事業開発 ⑤非財務指標のマネジメント ⑥人材・働き方改革 ⑦業績動向

経営課題、現在の概況とトレンド

2017年度の「現在」の経営課題は、「収益性向上」が42.1%で第1位、「売り上げ・シェア拡大」が36.8%で第
2位、「人材の強化」が35.9%で第3位、「新製品・新サービス・新事業の開発」が26.1%で第4位、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」が23.1%で5位という結果だった【図 1】
ここで2016年度調査との比較をすると、「売り上げ・シェア拡大」(33.6%→36.8%)と「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(20.9%→23.1%)が増加した点に着目したい。
 
図 1経営課題認識(現在)(前回:2016年度調査との比較)
 
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さらに、過去10年間の経営課題の上位5項目の推移をみてみよう。【図 2】
 「売り上げ・シェア拡大」がリーマン・ショック後に上昇したものの、2012年以降は低下傾向となり、2017年にやや上昇に転じた。一方で、「新製品・新サービス・新事業の開発」の比率は全体的に高まる傾向にあるとともに、2012年には10%未満であった「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」が、この5年間で右肩あがりに上昇している。
 すなわち、既存領域での事業強化に加え、既存領域以外の事業開発などを通じた事業構造転換の必要性が、経営課題として認識されていることがうかがえる。

図 2当面する経営課題(上位5項目)の10年間の推移
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事業形態やビジネスモデルの変革が、いま大きく問い直されている

今回の調査では、現在の主要事業の事業形態、ビジネスモデルの今後の見通しも聞いている。
今後3年間については、「通用する見通し」の企業が最も多いが(44.5%)、スパンを今後5年間とすると、「通用する見通し」の企業は2割以下(15.7%)となり、7割以上の企業は現在の主要事業の事業形態、ビジネスモデルに関して通用する見通しがつかない状況となっている(「通用するか懸念がある」(53.4%)、「大きく異なる形態に転換する必要がある」(19.3%))。
さらに、今後10年のスパンでは約半数の企業が「大きく異なる形態に転換する必要」を認識している【図 3】

図 3現在の主要事業の事業形態、ビジネスモデルの今後の見通し
 
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