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変化の時代に強い【OODAループ】活用シーン/トレンド

VUCA時代において「OODAループ」という思考法に関心が向けられていますが、実際にビジネス環境の変化に対応するためにどのように活用できるのでしょうか? 事業設計・組織作り・人材育成といった場面でのOODAループの活用方法について紹介します。

OODAループとは

OODA(ウーダ)ループとは、航空戦に挑むパイロットの意思決定のために生み出されたフレームワークです。Observe(観察)、Orient(状況判断、方向づけ)、Decide(意思決定)、Action(行動)の頭文字からできています。

柔軟かつ迅速な意思決定をするための思考法であるため、想定外のことが起こるVUCA時代において、ビジネスシーンでも注目されるようになりました。

OODAループの手順

OODAループの手順はObserve(観察)→Orient(状況判断、方向づけ、仮説)→Decide(意思決定)→Action(行動)です。
市場や競合の状況を観察してデータを収集、分析し戦略の方向性を定めます。
そして方向性を行動レベルまで落とし込んで意思決定を行い、実際に行動に起こしていきます。PDCAサイクルと同様にOODAループを何度も繰り返しながら精度を向上させます。

OODAループが活用できる場面

OODAループの活用例として、アメリカで最も人気の高いスポーツイベント、スーパーボウルの試合中に、クッキーで有名なオレオのソーシャルメディア・チームが成功を収めた事例があります。

スポーツのビッグイベントは、企業にとって広告宣伝の大きなチャンスです。ところがそんなスーパーボウルの試合中に、34分もの停電が発生しました。
この停電時に、オレオのソーシャルメディア・チームはすぐに反応。「停電?問題ないね」というツイートとともに、「暗闇でもオレオは(ミルクに)ダンクできる(浸すことができる)」というキャプションをつけたオレオの画像を投稿したのです。
このツイートが、1万5000件近くのリツイートと2万件以上の「いいね」を獲得。
スーパーボウルといえば、TV中継のCM料金が世界最高レベルであることで知られますが、オレオのこの投稿は、試合放映中のあらゆるテレビCM以上の宣伝効果を生み出したとさえ言われました。

オレオ側にこのような動きができたのは、スーパーボウルの試合中にコピーライターやアーティストなどから構成される、15人のソーシャルメディア・チームがオンラインで待機し、10分以内であらゆることに現場対応できる態勢をとっていたからだと言われています。スーパーボウル時に発生した緊急事態をよく観察し、状況を判断と意思決定を素早く行い、ジョークを発信するといった行動をとる様子は、まさにOODAループの思考法に基づいたものといえるでしょう。

他にも、OODAループの活用シーンとしては次のようなケースが考えられます。

新事業の立ち上げ

現代の市場は変化が激しく、計画的に新事業を立ち上げてもニーズの変化に後れを取るケースがあります。OODAループを活用することにより、市場の変化にすばやく対応ができ、既存企業に対しても優位性を示せるようになります。

新商品のターゲット設定

たとえばもともと20代男性をターゲットとした商品をリリースしたとします。
リリース後に観察を行うことで実際に売れている層がわかりますが、その結果、20代よりも40代の売り上げが伸びていると分かったときに、「20代男性には手を出せないほどの高価格だった」と仮説を立て、ターゲットの方を変更する意思決定をすることができます。
このような形で迅速にターゲット変更した結果、実際に売上がアップしたというケースもあります。

商品の受注増への対応

商品の受注が増えて製造に遅れが出たとき、まずは受注に伴う状況を観察します。
すると、単に受注が増えただけでなく、製造のペースがダウンしている、製品の調達ルートが1社しかないため部品調達が遅れているなどの状況が把握できます。
次に、このことを方向づけるため、「需要が増えた場合の欠品が生じる可能性」、「別の調達ルートを増やす可能性」、「自社工場だけに頼った生産方法のリスク」などの仮説を検討し、最終的に「外部の工場に製品の製造を依頼する」という意思決定をし、見積もり依頼という行動をとる、というように、迅速に対応することができます。
もちろん、対応した後は「観察」に戻り、仮説が誤っていた場合には次の対応へと移ります。

営業時間の変更

深夜営業をしている店舗が、深夜帯のお客さんの入り具合を観察した結果、深夜0時以降の利用者は少ないことが分かったとします。
次に、「深夜の営業時間を短縮し、人件費を抑えた分、利益率が上昇する」という仮説を立て、「0時以降の営業時間をストップする」意思決定を行い、営業時間の変更を実行します。これを繰り返すことで、より効率的な営業時間の設定が可能になるというわけです。

OODAループが効果を発揮するのは、「もともとあるものを改善する」場面ではなく、上記で紹介したさまざまなケースのように「不明確な状況で意思決定を行う」場面といえます。OODAループを繰り返すことで、さらに状況が改善し、売上アップなど事業の成長が見込めるといえるでしょう。

実践するために必要なこと

OODAループを実践するために必要なことを、組織、人材といった観点から考えてみましょう。

組織

OODAループの実践には、観察からの意思決定、迅速な行動が求められます。そのためには、組織としても現場で即断即決ができる状態にしておく必要があります。

 現場で即座な意思決定を行うには、経験や情報が共有できているフラットな組織にすることが好ましいです。そのうえで、組織としての目指すビジョンや経営方針が明確にすることで、共通の判断軸ができていきます。 

人材(管理職)

意思決定をするのは現場にいる人材(メンバー)です。そこで、管理職はメンバーに企業のビジョンや経営方針が浸透するよう、繋ぎ役として機能しなければなりません。
管理職は、部下が発言しやすく、組織内にビジョンが共有されやすい状態にするために、支援型のリーダーシップをとる必要があります。支援型リーダーは「サーヴァント・リーダー」とも呼ばれ、「傾聴」「共感」「概念化」「先見力」「コミュニティづくり」などの特性が必要とされています。

まとめ

今回ご紹介したように、OODAループは様々な場面で活用できる思考法です。
その実践のためにも、変化に強い組織や人材を育てる必要があるといえるでしょう。

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