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社員が災害に遭ったら?あらためて考える「社員の安否確認」

安否確認とは、地震や台風などの災害時や緊急時に、企業が社員やその家族の安否情報を確認することです。昨今では、自然災害以外にも感染症など、予測していなかったことが起こるリスクが高まっています。そこで、いかなるトラブルにも対応できるよう、災害発生時に企業が社員に対して行う安否確認について知っておきましょう。

安否確認

いま安否確認を考え直すべき理由

もともと、日本は地震や台風など自然災害の多い国です。昨今では異常気象による豪雨や土砂災害など災害が増えてきているため、多くの人が被災者になる可能性が高まっています。

また、働き方の多様化によりテレワーク移住が拡大し、社員がさまざまな地域に分散するケースも増えています。こうした社員の安否確認作業が複雑化してきている中で、あらためて社員の安否確認について考え直すべきという動きが出てきているわけです。

企業の安全配慮義務について

企業の安全配慮義務は、労働契約法第5条の「労働者の安全への配慮」に定められています。その中で、「従業員が生命・身体などの安全を確保しつつ働くことができるように企業が配慮すべき」と記載されています。

企業は社員が安全な環境で就業できるように、「労働安全衛生管理」「危険・健康障害の防止措置」「労働時間管理」「ハラスメント対策」についても押さえておかなくてはならないのです。

●労働安全衛生管理

事務所に一定の従業員がいる場合、労働安全衛生法に基づいて、安全委員会、衛生委員会を設置することが必要とされています。この委員会は、専門家を含めた企業側と社員側で構成されていて、労働環境の見直しや整備、問題についての話し合いなどを行います。

●危険・健康障害の防止措置

「法律」である労働安全衛生法に細かなルールを規定した「省令」に該当するのが労働安全衛生規則です。その労働安全衛生規則に、危険・健康障害の防止措置が定められています。機械設備の定期点検や作業フローの確認など、就業中に社員がリスクにさらされることがないように、必要な措置が必要です。

●労働時間管理

企業は社員の心の健康にも注意しなければなりません。長時間労働による疲労やストレスから病気になり、労働災害に認定されることもあります。社員が心身ともに健康で就業できるように、企業は社員の労働時間の管理と調整が必要です。

●ハラスメント対策

人間関係から起こるストレスやハラスメントは、メンタル面のトラブルの原因になることがあります。大企業は2020年6月から、中小企業では令和2022年4月から、職場におけるハラスメント防止対策が義務化されます。これを機に社内で研修や教育を行い、トラブルの未然防止に繋げるとよいでしょう。

災害時の安否確認は企業にとって義務なのか?

企業による社員の安否確認は、法的義務ではありませんが、企業の社会的責務として、社員の安全を守るために取り組むべきことだといえます。社員にとっても会社に守られているという安心感から、会社に対する信頼度が高まります。企業では、労働安全衛生法の安全配慮義務の一環として、安否確認対策をしておくのがよいでしょう。

また、医療業界やライフラインに直結する業界は、企業の事業継続という観点からも、速やかに安否確認する必要があります。企業は社員という「人」で成り立っているため、社員の出社が可能なのか、それにより事業は継続できるか否かなど、企業は素早く判断しなければなりません。安否確認の準備をしておくことで、有事の際やトラブルが起こった際にも効率よく対応できるようになります。

いざという時の安否確認のために準備しておくべきこと

安否確認は正確に速やかに行わないとなりません。いざという時のために、安否確認の準備をしておくとよいでしょう。以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

●社員からの連絡手段を決めておく(電話、チャットツール、メールなど)

社内の日常業務では、さまざまな連絡手段を使い分けて使っていると思います。緊急時には、混乱が起きないように、社員からの連絡手段をあらかじめ決めておきましょう。

●企業からの連絡手段を決めておく

災害時は、会社のシステムにログインできない場合もあるため、私用電話の利用も検討しましょう。システムにログインできない場合は、私用電話やメールでやり取りをするなど災害時対応マニュアルを作成しておくとよいでしょう。

●「何をどう伝えるか」を決めておく

会社で把握するべき情報をあらかじめ洗い出しておき、以下のように報告する内容を明確にしておきましょう。

把握すべき情報

  • 連絡がとれるかどうか
  • ケガ等の有無
  • 社員の家族の状況
  • 出社の可否
  • 緊急対応が可能か など

●報告の集計法を工夫する

企業は、事業継続の可否を判断するためにも、安否確認の回答を素早く確認しなくてはなりません。そこで、まず部署のリーダーがとりまとめてから本部に報告したり、自動集計システムを導入したりするなど、担当者が素早く確認するために集計法の工夫が必要です。

考えられる安否確認の連絡手段

混乱時にもスムーズに安否確認ができるように、対応可能な連絡手段を把握しておきましょう。

●電話

身近な連絡手段です。しかし、災害時には回線の混乱により繋がりにくい可能性が高いです。また、一人ずつしか対応できないため時間がかかります。

●チャット

使い勝手はいいものの、インフラやライフラインが崩壊すると使えない可能性があります。

●メール

少ない人数であれば把握はしやすいですが、災害時に、管理担当者が必ずしもメールを送れる状態であるかどうかは分かりません。また、インフラが止まってしまうと使えない可能性があります。

●伝言ダイヤルや通信事業者の伝言サービス

災害の発生により、電話が繋がりにくい状態になった時に各通信事業者がそれぞれ伝言サービスを設けています。すべてのインフラが止まってしまった時に有効ですが、あくまで伝言であるため、企業が知りたい情報をすべて把握できるわけではありません。

●安否確認システム

災害時に、企業が社員の安否確認をするシステムです。阪神淡路大震災や東日本大震災などの災害をきっかけに、導入する企業が増えています。災害発生時に、自動で社員一斉に安否確認のメールが送られるようになっている仕組みです。導入する際には、災害に耐えられるシステムなのかどうか、使いやすさの確認とともに、普段から訓練などで社員全員が使い方を知っている状態が望ましいでしょう。

今後も自然災害などの予期しない出来事の発生する可能性が高まる中で、企業は大切な社員を守っていかなくてはなりません。働き方の変化や事業継続の観点からも安否確認について、あらためて見直してみてはいかがでしょうか。

コロナ禍で問われる「BCP」の重要性
https://jma-solution.com/column/c210511/