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Clubhouseで注目?人事や健康経営にも無縁ではない「音声サービス」の進化

2020年はコロナ禍の影響もあり、ながら聞きができる音声サービスに注目が集まりました。日本でも2021年1月からClubhouseが話題になり、音声サービスは今後もさらに拡大すると言われています。そんな音声サービスの現在と未来について紹介します。

音声サービス

音声SNS”Clubhouse”が話題に

Clubhouseはアメリカ・サンフランシスコのベンチャー企業「Alpha Exploration」が2020年春にリリースした音声SNSサービスです。「いいね」やコメントをつける機能はなく、音声の会話のみで交流するiOS向けアプリで、完全紹介制、録音不可、生配信などの特徴も話題になりました。日本では2021年1月中旬から広がり始め、著名なスタートアップ経営者やオピニオンリーダーを中心に広がりました。

ブームの理由としては、何か別のことをしながら「ながら聞き」ができることや、在宅勤務が続いて雑談に飢えている人がこぞって参加したことなどが言われています。初期の頃には、イーロン・マスクなどの著名人がルーム(会話をするための部屋)にふらりと現れるような偶然の出会いもあり、そのことが人気を後押しした面もありました。

さまざまな音声サービスについて

現在活用されているさまざまな音声サービスについては次のようなものがあります。

  • 個人ラジオSNS(Voicy、Spoon、stand.fmなど)
    声だけのライブ配信です。声だけの配信なので配信側のハードルは下がります。
  • 音声解析サービス(自動車分野や医療分野など)
    自動車分野では、「車を声で運転する」「自動運転」というテーマで開発が進められています。AI技術で人の状態や意思を推定し、車体側が自発的に、安全性や快適性の向上のための運転支援をするというものです。医療分野ではAIが人の感情を推定し、うつ病の状況を確認する実証実験などが行われています。
  • 合成音声を用いたサービス(コールセンター、エンタメ向けなど)
    コールセンターではAI音声認識やAI自回答検索によって問い合わせ内容を認識し、合成音声を用いた音声AIチャットボットが自動応答で回答する、といった使い方がされています。エンタメ向けには、音声変換によるカラオケで歌手本人なりきることができるサービスや、ラジオアナウンサーの代役として、人の代わりに自動で原稿を読み上げる場合などに合成音声が活用されています。
  • ASMR動画
    ASMRとは、Autonomous Sensory Meridian Responseの略。一般的には「聞いていて心地よい音声」を指し、厳密にはサービスではありませんが、動物の鳴き声、咀嚼音、環境音など音に焦点をあてた動画が人気を集めています。

また、これまで音声再生の分野では2つのスピーカーで音を再生し、2次元的に音を感じる「ステレオ」が主流でしたが、より立体的に音を感じることのできる技術が進化し、少ないスピーカーで音を立体的に響かせる3Dオーディオ技術なども注目されています。こうした音声技術の発展により、今後もさまざまな音声サービスが誕生することでしょう。

音声サービスが注目される背景にある事情

コロナ禍において在宅勤務が増加し、就業環境がプライベートな空間に変わった人も増えました。そんな中、適度な音量での「ながら聴き」がオフィスの環境を再現し、生産性を高める側面もあるとしてニーズが高まっていました。「Clubhouse」は、そうした状況にマッチしたことで急激に注目されることになったともいえます。そうした環境の変化に加え、AIや5Gなどの技術的進化により音声サービスの質が向上したことも手伝って、急激な発展に繋がったと言えるでしょう。

現代は、パソコンやスマホから得る視覚情報が多く、人々は視覚からの情報過多によって、疲れを感じるようになったと言われています。そこに音声サービスが出現したことにより、視覚から音へと人々の楽しみ方がシフトしたとも言えます。最近では、現実の空間の中にバーチャルな映像が浮かぶ「AR」に対し、現実の空間からお音が聞こえてくるように感じられる「音声AR」も登場。ゲーム『ポケモンGO』で使用されたことで注目されました。

また、ワイヤレスイヤホンなど、身につけて使用するいわゆる「ヒアラブルデバイス」の進化も音声サービスの発展を後押ししています。

このように、人々のニーズの変化と技術の進化により音声サービスはまだまだ拡大していくと見られています。

人事分野での音声サービス導入の広がり

エンタメ系の音声サービスが注目されがちですが、実は音声サービスは人事分野にも導入され始めています。

採用の場面では、電話インタビューでの候補者の反応を音声認識機能により分析し、スクリーニングを行うといった活用法があります。また、音声に含まれる深層感情から社員のパーソナリティ診断をし、人材の適正配置や研修プランの策定に活用している例もあります。音声から心の健康状態を分析し、メンタルヘルス不調の早期発見・予防のために利用しているケースもあります。こうして見ていくと、音声サービスが持つ意味の大きさが感じられるでしょう。

昨今、働き方改革や健康経営に関心を持つ企業が増えているという背景からも、人事分野においても、今後ますます音声サービスの導入に注目が集まっていくと考えられます。