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「マネジメントからリーダーシップへ」|講師インタビュー「リーダーシップの学びに『感動』を」 vol.2

公開日:2015/07/06 更新日:2020/05/06

研修の最前線で活躍する講師のインタビューを交えながら、様々な人材育成テーマについて考えるシリーズ。「リーダーシップ」をテーマに中島克紀氏にお話を聞きます。

vol.2 リーダーシップ開発の歩み 「マネジメントからリーダーシップへ」

本のリーダシップ開発の出発点は?

―日本のリーダーシップトレーニングの出発点についてお聞かせください。

(中島)
歴史は古いです。1990年代初めのバブル崩壊で、どの日本企業も低成長に入りました。日本能率協会もその低成長に入った企業に、どんなプログラムが有効で必要とされているのかを考えました。かつて、同じようにアメリカが双子の赤字になって、それを乗り越えた。その時のキーワードは、『マネジメントからリーダーシップへ』でした。

後には「マネジメント&リーダーシップの2つは両輪」という考えが定着するのですけど、米国は徹底的に変革するという一面もあったので、マネジメントを否定し、リーダーシップを前面に取り上げる動きでしたね。

この動きは、“パラダイムシフト”や、その後出てくる“イノベーション”というキーワードとも繋がるものでした。今までのやり方や考えを、一回ゼロにして、もう一回作り直すこと。そういう風潮が日本でも生まれました。

1990年、日本への導入、ということでは、財団法人センターフォークリエイティブリーダーシップ(CCL)という米国の有名なリーダーシップ研究機関とジョイントをしてプログラム開発をする機関として、日本能率協会が選ばれました。ちょうど10年先の21世紀をみるということで、「リーダーシップ21」というプロジェクトでしたね。

日本は、ビジョンを描くこと、熱く語ることが不得意?

―中島講師自身がリーダーシップトレーニングの講師を担当するきっかけは?

(中島)
その「リーダーシップ21」のプロジェクトリーダーとしてアメリカに2年ぐらい行ったり来たりしながら研究したのが、私にとってのきっかけです。

その時わかったことは、『日本は将来のヴィジョン、先を見る目が不明確なことが多い』ということです。単純にアメリカと比較して、『ビジョンを熱く語ることが日本人は少ない』と、強く感じたことを今でも思い出します。それを伝え、変えていかないといけないと痛感しました。

さらに、アメリカの素晴らしい点は、アセスメントツールをふんだんに使うこと。
CCLでも4種類の診断ツールを活用して、自分の強み・弱みを、あぶりだしていく。
そして半日かけてフィードバックするので、重厚なプログラムでしたね。

1週間でやっていたプログラムを、3日間に圧縮して日本で始め、企業でも導入いただきました。日本で初めてに近いと思うのですが、リーダーシップに特化した360度評価も取り入れたのです。それが日本に大体普及が始まったということになります。

私は日本全国のリーダーシップ開発の普及活動に携わりながら、セミナーの講師を担当するようになりました。トレーニングのやり方もアメリカ的で、ペア講師、バディシステムといったものを取り入れました。このやり方も日本で初めてに近いと思います。雰囲気が違う2人の講師がやり取りするような感じで進めて行くので、参加者の反応も様々になり面白かったです。

リーダシップで大切な『人間力』とは?

―『講師から受講者へ伝える』旧来の一方通行的な研修のスタイルとは全く違いますね。

(中島)
全く違いましたね。アクションラーニングを取り入れた“劇場型”の研修の場をつくっていて、まさに
演劇メソッドもその頃から私自身意識していました。なぜかというとリーダーシップは、“人間力”が重要だからです。

“人間力”は、“ビヘイビア(行動・態度)”や、“立ち居振る舞い”から来ています。第一印象が大切なので、『リーダーシップ開発のなかで、表現力を高めることはとても重要』という考えは、当時からベースにありました。

~つづく~

◆中島 克紀(なかじま かつのり)プロフィール◆

一般社団法人日本能率協会 エキスパート
「TheLeadershipChallenge」認定マスター
社団法人日本能率協会に入職後、マネジメントとリーダーシップの機能、チーム変革の研究と理論・実践のバランスを追及するセミナー開発に従事。アメリカの財団法人との次世代リーダープログラム共同開発後、企業・自治体での管理者教育に従事。