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未来最適を目指しオープンイノベーションを促進できる企業文化をつくる|日本企業がオープンイノベーションを進めるには その3

未来最適を目指しオープンイノベーションを促進できる企業文化をつくる

KAIKA経営実践の提言においては、「『脱PDCA』の思考と『青臭い議論』によって、全体最適を追及しよう」と提言させていただいた。

欧米企業2,500社以上を対象とするフラウンホーファー研究所の調査によると、「自前主義からの脱却」が欧米企業においても最も難しい課題であり、オープンイノベーションの仕組み確立と同様に、企業文化・行動規範としてオープン性を奨励、浸透させることが重要だと指摘されている。

ゼネラル・エレクトリック社(GE)CEOイメルト氏とともに、同社のイノベーションを推進したビジャイ・ゴビンダラジャン教授(ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネス)は、「もともと企業とは事業継続・成功に向け反復可能性と予測可能性を追求するため、イノベーション向きにできていない」と指摘している。

しかし一方で、イノベーションとはそもそも“反復”も“予測”も不可能なものだ。だからこそ、最も留意すべき点は、既存事業の成功で積みあげてきた“アタリマエ”を安易にもち込まないことであり、また、いままでと異なるリーダーのスキルセット、育成法、評価方
法を導入することである。

現に、重厚長大産業の代表ともいえるGEは、モノづくり企業からの脱却をめざしたビジネスモデル変革のなかで、シリコンバレー流の仕事のやり方を取り入れたFastWorksを推進した。その原理は、社会との接点である顧客や市場により近づき、顧客に評価検
証してもらいながらスピードと成功確率のアップを図ることであった。ここで注目される点は、研究開発(R&D)主導から顧客/顧客コミュニティ主導への転換である。そして顧客をイノベーターとして、顧客とのオープンイノベーションが推進されているということである。顧客からの直接の声を重視することは、おのずと「TO DO=やること」に焦点をあてることよりも「そもそも何のためにやるのか? どんな価値を世に提供したいのか?」に焦点をあてることになる。

GEはまた、このようなビジネスモデルに転換するために、新しいスキルセットによる管理者教育を実施。さらに年次人事評価によるレーティングも、時間とコストがかかるわりには社員の学習や成長意欲を阻害する手法であったとして廃止してしまった。ちなみに
2015年の時点でフォーチュン500の約10%が同様の理由からレーティングを廃止したといわれている。

オープンイノベーションによって外部の多様なリソースを取り込み進化する

「能率」とは、人の能力、設備の性能、材料の機能など経営資源を、それぞれ最大限有効に活かしきることであり、能率を追求することがマネジメントの目的となる。

経営資源というと、それは主にB/S、P/Lという財務指標にひもづく、会社内部の経営資源を意味することが、これまではアタリマエだったのではないだろうか。
しかし今後は、株式投資においても非財務指標が重要となり、顧客も含めた会社外部の多様な知・技術・その他リソースを、自社を進化させる有効なリソースとして捉え直し、最大限有効に活かしきるマネジメントの実践が、“新しいアタリマエ”となる。むろん、そのことは社会への貢献の同時実現にほかならない。


紙面の都合で本稿では紹介できないが、世にあるオープンイノベーションの探索・融合方法を整理すると、11カテゴリ×4カテゴリのマトリックスで計32程度のパターンが抽出できる。詳しくは「オープンイノベーションが“新たな”未来を創るgood.book (2017/4/17)」を参照されたい。

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日本企業がオープンイノベーションを進めるには その1
日本企業がオープンイノベーションを進めるには その2