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今どき研修テーマ&メソッド図鑑

自律型人材への成長を促す「キャリアデザイン研修」

働き方の選択肢が広がり、仕事に成長や貢献を求める価値観も広がる中で、ビジネスパーソンが自らのキャリア形成に主体的に取り組む機運は高まっています。
同時に企業にとっても、個々の意欲と能力を活かして、変化する社会に応えられるよう、人材を確保し定着させることがが急務となっています。こうした流れの中で、なぜキャリアデザインが必要なのか、企業がどのように社員のキャリアデザインを支援していくべきかについて考えてみましょう。

キャリアデザインとはどういう概念か

キャリアデザインとは、将来なりたい自分になるために、自分の意志でどんなキャリアを積みたいかを主体的に考え、実現していくことです。職業人生の目標だけにとどまらず、価値観やライフスタイルなどプライベートを含めて設計することが特徴です。

キャリアデザインと混同しやすい語に「キャリアパス」がありますが、キャリアパスとは、1つの企業の中で目標とするポジションにつくためのステップのことです。企業が社員に提示する育成計画などがこれにあたり、キャリアデザインと比べると社員の主体性はあまり重要視されていません。

キャリアデザインが注目されている理由

キャリアデザインが注目される社会的背景や、個人や企業にとっての必要性を見てみましょう。

社会的背景

(1)VUCA環境
(2)終身雇用や年功序列などの日本的雇用慣行が崩壊

先行きが不透明なVUCA環境と、終身雇用や年功序列などの日本的雇用慣行の崩壊により、「企業に勤めていたら安心」という時代ではなくなりました。将来の保証が難しくなったことで、雇用のありかたや個人のキャリア観が大きく変わってきたのです。

個人にとって必要な理由

(1)成果主義や中途人材の登用
(2)価値観の多様化
(3)人材市場の活性化

人材市場の発達により転職が当たり前という時代になり、個人にとっては転職しやすい環境に変化しています。それに合わせて企業でも、成果主義の導入や優秀な中途人材の登用を始めています。

働く人にとっては、自らのキャリア形成を企業に依存にするのではなく、自分で実現することが求められるようになったとも言えます。自分のキャリア設計に自ら責任を持たなければならない時代になった一方で、自身の望む働き方や、仕事を通じて実現したいことに応じて、自分のキャリアを自分で設計できる機会が増えたと言うこともできます。

企業にとって必要な理由

(1)「自律型人材」をつくりたい
(2)社員のモチベーションやエンゲージメントの重要視

ビジネス環境の変化、グローバル化によって企業の競争力がさらに求められています。そこで、企業が即戦力として求めているのが外部環境の変化に対応できる「自律型人材」です。社員に自らキャリアデザインを考え実行に移せるようになってもらうことは、そのまま自律型人材の育成につながります。

また、キャリアデザインを構築する過程で、行動が具体化され、仕事に対しての主体性が高まり、モチベーションがあがります。社員のモチベーションが上がれば、組織へのエンゲージメントが高まり、生産性の向上も期待できるでしょう。

どんな人がキャリアデザイン研修の対象となるか

外部環境に適用できる自律型人材となるために、キャリアデザインは働く人すべてが考えておくべきことだと言えます。実際に、一定の経験を積んだ社会人3~5年目のタイミングから始まり、年代や役職の区切りで定期的にキャリアデザインを考える研修を設ける例は多くあります。

そのほか、結婚・子育て・介護・定年などのライフイベントが近づく世代においては、仕事と自分、これからの人生について深く考え準備するのに適すると言えます。

 また少子高齢化による労働力不足が進行している日本では、女性活躍やシニア人材活躍は以前から注目されているテーマです。これを具体的に実現するため、組織としては今後も、活躍してほしい層にキャリアデザインの機会を設ける必要があるでしょう。

キャリアデザイン研修ではどんなことを学ぶのか

社員自らがキャリアデザインを構築するため、具体的には次のようなことを学んでいきます。

基本のステップ

(1)現状を把握する

まずキャリアや能力を洗い出します。積み重ねてきた経験を振り返り、自身の持っている能力や仕事のやりがいポイントを前向きに具体的に捉えることは、キャリアデザインの大きな原動力になります。
一方、環境や期待される役割と現状とのギャップを知り、不足を補うために「やるべきこと」に気づくことは、キャリアデザインに欠かせないプロセスです。

(2)なりたい将来像を考える

3年後、5年後など段階的になりたい将来像や目標を書き出します。具体的な仕事内容だけでなく、結婚や出産などプライベートも含めて考えます。「リモートワークがしやすい仕事につきたい」など理想の働き方や人生の過ごし方を想像することで、なりたい将来像がより具体的になる場合もあります。

(3)そのために何をするかを考える

理想やなりたい将来像を考えることで、現実とのギャップ、解決すべき課題が見えてきたら、目標を達成するため、身につけるべきスキルの優先順位を検討し決定します。すぐに達成できるもの、長期的に取り組むものに分け、いつまでに目標を達成するか期限を決めることも重要です。

 企業としては、組織として社員に期待することを理解してもらうことで、自社でのキャリアイメージを明確にしてもらうことができるでしょう。

ライフイベントを含む

子育てや介護などのライフイベントと並行する持続可能なキャリア形成は、もはや女性だけのテーマではありません。ライフとワーク、双方の観点から自らのキャリアを主体的に考えてもらうとよいでしょう。

シニアの場合は、意識改革も必要

20214月から改正「高年齢者雇用安定法」が施行され、急増するシニア人材の意識改革が求められています。シニアが「自分でキャリアを切り開き、働く場を獲得する」ためには、「就社意識」の変革や、仕事における価値観を見つめなおすことで、働くことへのモチベーションの向け先を再定義する必要があります。

社会、ビジネス環境の変化に対応するために、企業にとって社内の人材強化は重要な課題です。一人ひとりのキャリアデザインを支援することは自律型人材の育成にもつながり、企業の生産性や競争力を高めることにもなるでしょう。

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