やりっぱなしにしない!研修活用術

誰もが一度は経験あり!? 失敗研修あるある
ハイブリッド研修はつらいよ!会場+オンライン同時進行の失敗あるある

公開日:2021/10/05 更新日:2023/09/13

念入りにプランを立てて開催しても、いざ当日になってみるといろいろあるのが研修。そんな失敗やハプニングをご紹介しつつ、よりよい研修に向けた改善方法を探ります。 

今回のテーマは、会場に集まる研修とオンラインでの研修を同時に行うハイブリッド研修です。 

ここでいうハイブリッド研修とは、集合対面形式とオンライン形式を並行で行うライブ型の研修のことで、「ハイフレックス型」とも呼ばれています。「withコロナ」の時代に向け、集合対面形式のメリットを最大限に取り入れるために注目されているスタイルですが、そう簡単にはいかないところもあるようで……そんな失敗あるあるをご紹介しましょう。

開始早々、「投影画面が見えない」コメントが殺到!

コロナ禍以降のフルリモートワークから、一部社員が出社できるようになり、集まれる人は対面で集まって行うことになった今日の研修。会場の参加者のモチベーションは高そうで、研修担当者としては「せめて会場にいる人だけでも、雰囲気がつかめるのはいいことだな」という気持ちになります。配信用のカメラやマイクの用意は事前にチェックも行い、オンライン受講者対応用のPCもしっかり接続済みで、万全の態勢で研修がスタートしました。 

しかし、開始直後のインストラクションの段階ですでに、オンライン参加者のチャットに不穏なムードが。急いでチェックすると「投影画面がよく見えない」というコメントが並んでいます。資料は講師のPCから会場のスクリーンに投影し、その画面をカメラで映して配信しているのですが、どうやらその映りがよくない様子なのです。

【教訓】

  • 資料は、オンライン配信用のPCから、画面共有などの形で直接表示!

オンラインでも会場でも「先生の声しか聞こえない」

今日の講師は過去に何度もお世話になっているベテラン。話術も巧みで、「○○さん、どうですか?」と参加者にコメントを求めて盛り上げてくれるあたりもさすがです。参加者の発言にちょっと笑いが起こったり、いい雰囲気になってきました。さらに講師は「今度はオンラインの皆さんの番です」とオンラインの参加者にも質問を投げかけるなど、バランスに配慮してくれていてありがたい限りです。

ところが、そんなとき、またしてもオンラインチャットに一つの投稿が。いわく「誰かと先生が話しているようですが、先生の声しか聞こえません」。えっ?会場内では十分に聞こえているのに……どうやらその音がすべてきちんと届いているとは限らないようです。そうこうするうち会場からは、「オンラインの人の発言も聞きたい」という声が上がり始めます。えっ?PCでモニターしていたから気づかなかったけれど、この声、会場に聞こえてなかったの?……講師の声をオンラインに届けることは事前にしっかり考えたつもりでしたが、参加者の声が会場とオンラインの両方に聞こえる設定が必要だということは想定外でした。

【教訓】

  • 集音マイク(会場の声をオンラインに届ける)とスピーカー(オンラインの声を会場に届ける)を会場中央に設置!
  • 講師には、会場、オンラインの双方に、講師と全参加者の聞こえているかの確認を依頼!

オンライン参加者が次々脱落!? グループワークのペースにご用心

研修も中盤にさしかかり、グループワークのパートに入りました。人数の関係で、グループのうちの1つは会場組3人とオンライン組1人という構成に。配信用のPC1台を使って、会場とオンライン参加者を結びます。 

ところが、ワークが始まってみるといろいろ不都合があることがわかってきました。会場参加者はホワイトボードに付箋を貼って議論をしていますが、オンライン参加者からは「左端が切れてよく見えない」との声。それならとオンライン上でパワーポイントを使って行おうということになりましたが、会場側の3人が手を動かすワークをPC1台で行うのには限界があります。そのうち会場側の3人で議論が盛り上がり、オンライン参加者はうまく議論に入れなくなってしまいました。

さらに、会場参加者だけのグループ、オンライン参加者だけのグループの間のペースの差も目立ってきました。会場参加者は概ね議論を終えたようですが、オンライン参加者のほうはまだまだ途中。やはりオンラインの場合、発言のタイミングの難しさなどから時間がかかってしまうようです。

【教訓】

  • グループワークを行うときは可能な限り、会場は会場、オンラインはオンラインでグルーピング!
  • オンライン参加者向けにディスカッションの時間を十分に確保!

衝撃のアンケート回答。「会場だけが盛り上がって正直寂しかった」

いろいろ問題はあったものの、やはり集まれる人だけでも会場に集まって研修を行うのはよいものだ、と手応えを感じることができたハイブリッド研修。ところが、研修後のアンケートには、オンライン参加者から「会場だけが盛り上がっているようで、正直寂しかったです」というコメントが! 

会場が盛り上がるのは素晴らしいことですが、オンライン参加者が疎外感を感じるようではいけないのは当然のこと。そうならないために、さらなる意識が必要だと痛感することになった、初のハイブリッド研修でした。

【教訓】

  • 講師には、会場だけでなくオンライン用のカメラにも目を向けるよう依頼!
  • 講師とは別に運営スタッフ(研修担当者)がオンライン参加者の質問をカバー!

番外編:「会場からもオンライン参加」にしてみたら……

後日、会場参加者にも11PCを持ち込んでもらい、質問やグループワークはオンラインで行ってもらう形で研修を実施することにしました。これなら、会場の人についてはリアルに雰囲気をつかみながら、会場参加者とオンライン参加者の温度差を解消できるはずです。 

ところが、イントロダクションのため喋り始めた途端、響き渡る「キーン」という音!どうやら、同時接続するマイクやスピーカーが近くにあるため、ハウリングを起こしてしまった様子。この形式についても注意すべき点があるようです。

【教訓】

  • 会場からオンラインで参加する場合、ハウリングを起こさないよう参加場所を分ける、または距離を取る!

(おわりに)

密集を避け、遠方からでも参加できるオンライン研修と、参加者の様子がつかみやすく、できることの幅も広い集合対面研修。両方のよいところを取り入れられるハイブリッド研修ですが、実は難易度も高いのが現実です。今回ご紹介したようなトラブル未然に防ぎ、質の高い研修運営をできるかどうか、事前にしっかり検討したうえで取り組んでみていただき、よりよい研修を実現されることを祈っています。

●関連情報

オンライン研修 誰もが一度は経験あり!? 失敗研修あるある オンライン研修中、「あの人が画面から消えた!?」~オンライン研修編失敗あるあ