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リモートワーク時代のコミュニケーション向上にも!「DiSC®診断」を学ぶ

リモートワークが浸透する中で、社員同士の新たなコミュニケーションを模索する企業が増えています。そんななか、自分と他者の行動傾向を知って職場のコミュニケーション向上に活かす「DiSC®診断」に注目が集まっています。

DiSC®診断とは何か?

DiSC®診断とは、職場のコミュニケーション向上を目指すためのアセスメントツールとして有効なツールの一つです。米国John Wiley & Sons社が40年にわたり研究・開発を重ねてきたツールで、心理学をベースに、人間の“動機や欲求”によって伴う行動傾向を D(主導型)、i(感化型)、S(安定型)、C(慎重型)の4 つに整理・分類して、自分と他者のスタイルを知り、他者への理解を深めて職場での意思疎通等に役立てるものです。

 1920年代に行動心理学者ウィリアム・ムートン・マーストン博士によって提唱され、以降博士の弟子たちが研究を重ね、1940年代初めに現在のDiSC®の理論を完成させました。そして1970年代、IBM社が社員のコミュニケーション促進のためDiSC®診断を導入したのを機に世界中で広まりました。現在はダイバーシティやリモートワークの普及に伴い、社員のコミュニケーション向上やマネージャーの育成等を目的とする研修にDiSC®診断を取り入れる企業が増えています。

どんな場面で役に立つのか?

1 職場の人間関係の強化

  • リモートワークの環境下でメンバーの相互理解に
  • 11のオンラインミーティングに
  • 新入社員同士・チーム内の関係構築や連帯感の醸成に

複数の人間が集まる職場において、あの上司や部下とは「接しやすい」「接しにくい」というのは誰もが経験していることです。職場内のコミュニケーションが円滑でないと、チームや会社全体に良い影響を与えません。組織力の低下や離職など負の影響にもつながります。とはいえ、コミュニケーションの改善を、本人の努力だけに頼るのには限界があります。そうした際にDiSC®診断は、自分と他者の行動傾向を認識し、相互理解を促進する「共通言語」となって人間関係を良くし、結果チームや会社全体の組織の強化に役立ちます。

2 マネージャーの育成、マネジメント改善

  • マネージャー、上司としてのリーダーシップの育成や強化に
  • 部下の特性に合わせた指導に
  • 部下のモチベーションを高めるマネジメントに
  • 若手のセルフリーダーシップを強化するために

マネージャーは部下に大きな影響力を持っています。マネジメントがうまくいかないと、部下に不安や混乱、職務を行き詰らせて不満を抱かせ、職場から気持ちを離れさせる恐れがあります。DiSC®診断は、マネージャーとしての影響力を自己認識し、リーダーシップを発揮するうえで障害になる要素を取り除くことを後押しし、優れたマネジメントが可能になるようにマネージャーを育成します。

3 対社外の販売や営業

  • 営業における顧客との関係構築に
  • 円滑な交渉準備のために

販売職や営業職であれば、特定の顧客としっくりこないという体験は誰でもあるはず。顧客のニーズが汲めなくてコミュニケーションがずれたり、セールスの機会を失うこともあります。DiSC®診断はそのような社外の場面にも役立ちます。実際、顧客との良好な関係づくりやセールス向上を目的にDiSC®診断を導入する企業は多数あります。

研修の大まかな進め方

DiSC®診断を研修に導入する場合、参加者は「自己認識」「他者認識」「他者への対策」の3つを学びます。まず専用の診断ツールを使って、自分の行動傾向とスタイルを知るため、動機や欲求を調べる測定問題を受けます。そして分析結果を記した「プロファイル」をもとに、グループ討議、個人ワーク、ロールプレイング、動画など自身のプロファイルの理解と、異なるタイプの人の特徴や他者とのかかわり方のポイントについて理解を進めます。 

診断ツールには、職場環境や人間関係の向上を目的にした【ワークプレイス】、上司としてのマネジメント課題把握やより効果的な部下の育成と上司の関係構築を目的にした【マネジメント】等いくつかのタイプがあります。どのツールも自分のスタイルを知ることが基本になりますが、それは他者の行動傾向を知って円滑に対応するためには自己認識が重要だからです。

1.自己認識…自分の動機・欲求と行動傾向を知る

D(主導型)、i(感化型)、S(安定型)、C(慎重型)のどのスタイルになるかの判断は、仕事において優先的に好んでエネルギーを注ぎ込む8つの要素「行動・成果・挑戦・正確・着実・支援・協力・熱意」の強弱バランスで分析・測定します。そして最も強い傾向が「自分のスタイル」になります。「D」「S」といった単独スタイルの人もいれば、「Si」「Di」「CD」といった複数スタイルの人もいます。このスタイルを踏まえたうえで、以下のようなことを学びます。

【ワークプレイス(職場の関係性向上用)】の場合

  • 自分が職場でどのような行動をしているのか
  • 仕事をする上で自分がモチベーションとストレスになること
  • 自分の行動傾向を職場で発揮させるための注意点、等

【マネジメント(マネジメント・部下育成用)】の場合

  • 自分のマネジメントはどのような行動傾向なのか
  • マネージャーとしてモチベーションとストレスになること
  • 部下への指示と権限委譲(エンパワーメント)の自分の行動傾向、等

2.他者認識/他者への対策…他者の動機・欲求と行動傾向を知る

自分の行動傾向を自己認識できたら、次は他者の行動傾向の「理解」と「対策」を学びます。例えば「iD」スタイルにとっての他者は「D」「S」「C」になり、自分とは行動傾向がどう違うのか、仕事上での優先順位や好むこと、対立を避けるために心掛けること等を学びます。DiSC®では、対立が生まれるのはお互いが人間の動機・欲求と行動傾向の違いを知らないためだと考えるので、測定結果が示すスタイル別の対策は、日常の業務にすぐ役立つ内容です。

【ワークプレイス(職場の関係性向上用)】の場合

  • 自分と違うスタイルの行動傾向
  • 自分と違うスタイルの人と関係を深めたい時の対策
  • 一緒に業務を遂行する時の対策
  • 対立時の対策、等

【マネジメント(マネジメント・部下育成用)】の場合

  • 自分と違うスタイルの部下の行動傾向
  • 部下と一緒に働く時におこりえる問題
  • 違うスタイルの部下への対策
  • 経験が浅い部下と経験が豊富な部下への対策
  • 違うスタイルの部下を育成するための対策
  • 上司から見た自分
  • 上司への提案、意見の伝え方、同意をとりつける方法
  • 対立時の対処法、等

<参考>

DiSC®診断 4つのスタイル概要

D主導型:直接的で決断が早い
意志が強く、勝気でチャレンジ精神に富み、行動的で結果をすぐに求める傾向があります。
【直接的・成果志向・断固とした・意思が強い・強引】

i感化型:楽観的で社交的
いろいろなチームに加わり、アイディアを分かち合い、人々を励ましたり楽しませることを好みます。
【外向的・熱意のある・楽観的・活気がある・活発】

S安定型:思いやりがあり協力的
人助けが好きで、表立つことなく働くことを好み、一貫性があり予測可能な範囲で行動し、聞き上手です。
【平静・順応的・忍耐強い・謙虚・そつがない】

C慎重型:緻密で正確
仕事の質を高めることを重視して、計画性をもって系統だった手順で作業することを好み、間違いのないように何度も確認します。
【分析的・感情を表に出さない・緻密・人前に出たがらない・系統的】

個別の課題への応用もできる

DiSC®診断は自分と他者の行動傾向の違いを客観的に認識して行動変容に結びつける、シンプルながら応用の幅が広いアセスメントツールです。実際、職種や役職に関係なく、働く全ての人に応用できるので、大学病院の看護チームや製薬会社、人材育成会社等、さまざまな業界で自社の課題解決に取り組んでいます。そこで「生産性」「組織力」「マネジメント」「セールス」等の課題にDiSC®診断がどのように応用できるかを紹介します。

生産性向上、組織力強化

生産性の向上や組織力の強化への課題として、「ダイバーシティ」「タイムマネジメント」「イノベーション」等があります。例えばダイバーシティの場合、性別、所属、世代間ギャップ等の「違い」を克服する必要が必須です。DiSC®診断では「人は違っていて当たり前」という前提にあるので、研修を体験した受講者は、ダイバーシティの「違い」も受け入れやすく、結果、他者への理解・受容・尊重への行動変容が可能になります。

マネジメント力強化

マネジメント力を強化させるためには、「部下育成」「マネージャー自身の認識」等の課題があります。例えば「部下育成」の場合、自分のマネジメント傾向を部下のスタイルとニーズにうまく適応させる必要があります。DiSC®診断では自分の傾向、違うスタイルの部下への対策を具体的に学べます。

セールス力強化

セールス力の強化への課題として、一人ひとりの営業傾向を分析し、自分の強みを認識する必要があります。DiSC®診断では自分の傾向、実践に結びつけやすい対策を具体的に示すので、結果個人のセールス力の強化が可能になります。ほかに「セールス・マネージャーの育成」、「強いセールスの組織作り」にも応用できます。

まとめ

DiSC®診断は分析・測定が緻密に研究されているので、信頼性と妥当性が高いアセスメントツールといえます。また、受講者はストレスなく測定結果を受容することができ、行動変容に結びつきやすい特徴があります。リモートワークが主流になっていくなか、メンバーとのコミュニケーション促進や、部下のマネジメント改善のために活用してみてはいかがでしょうか。

●ウェビナーレポート

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