コラムcolumn

5分でわかるビジネストレンドワード

コロナ禍で問われる「BCP」の重要性

日本は地震や台風など自然災害が多い国です。そこで、企業が事業を中断せざるを得ない状況やリスクに備えるために、政府がBCP(事業継続計画)の策定を推進しています。コロナ禍であらためて注目されているBCPの重要性について紹介します。

BCP

BCPとは何か?

BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、事業継続計画のことです。企業がテロや自然災害などの緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限にとどめつつ、重要な業務を継続できる方法や手段を取り決めておく計画書として事前に策定しておくもののことをいいます。

注目される背景と現状

政府は大企業のBCP策定率100%を2020年までの目標としていましたが、2020年2月に政府が実施した調査では、策定済みの企業は約7割にとどまっています。そのような中、新型コロナウイルス感染症の問題が発生し、有事のリスクマネジメントとしてBCPが再注目されはじめました。

策定が進んでいない理由としては、「ノウハウがない」「策定の時間が確保できない」「策定する人材を確保できない」といったことが挙げられています。これに対して、政府は長引く新型コロナウイルス感染症を乗り越える対策としても、よりいっそうのBCPの普及啓発に取り組むことを公示しています。

BCPを策定する手順について

BCPの策定は、具体的には次のような手順で進めていくことになります。

1 基本方針を作成する

いかなる事業環境の変化に対しても、事業を継続させるためには迅速に対応できるように準備が必要です。まずは、想定される災害や事故などの緊急事態を漏れなく洗い出します。そして、リスクの大きくなりやすいものに焦点をあてて、自社のBCP基本方針を定めていきます。

2 優先して継続すべき中核事業を定める

いかなる事業環境の変化に対しても、事業を継続させるためには迅速に対応できるように準備が必要です。まずは、想定される災害や事故などの緊急事態を漏れなく洗い出します。そして、リスクの大きくなりやすいものに焦点をあてて、自社のBCP基本方針を定めていきます。

3 事業継続のために必要なサービスレベルの分析・検討をする

自社の組織だけでなく、顧客との信頼性を維持するために欠かせないサービスを明確にしていきます。顧客や地域にどのような影響があるか分析・検討することも必要です。また、緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておくことも重要です。

4 事業継続に必要な代替案を用意する

緊急事態で事業継続に必要な資源が失われてしまった際に、資金や事業拠点や生産設備、仕入品の調達などの代替案を検討していきます。3で掲げた目標と現状のギャップを埋めていきましょう。

5 BCPの推進体制を決める

必要な内容をまとめておくだけでなく、従業員に対しても浸透させるためにBCPの発動基準などを共有しておくことが重要です。

BCPを実効性のある計画とするために

東日本大震災の際には、BCPを整備していたにもかかわらず、計画通りに実現できなかった企業がありました。原因としては、従業員への周知不足や訓練が未実施であったことなどが挙げられました。そこで、BCPを実効性のある計画とするために、BCM(事業継承マネジメント)が重要視されています。

BCM「Business Continuity Management」とは、BCPの策定から、導入・運用・見直しを含んだ事業継続のための統合的なマネジメントです。いかに企業内に浸透させるか、活用させるかを意識しながら、以下のように実効性を高めていきます。

・BCPに取り組む目的を明確にする

BCPが細かく完璧な計画であっても、緊急事態発生時に運用されなければ意味がありません。確実に運用されるためには、BCP策定の必要性を理解することが必要です。「なぜ取り組む必要があるのか」「何を目的にするのか」を明確にすることが、自社で「できる」計画を策定することにつながります。

・経営課題の一つとして取り組む

BCPは、策定することがゴールではありません。まずはBCPの考え方を組織に定着させるためにも経営者が積極的に関与し、組織として取り組む姿勢が重要です。経営課題の一つに組み込むことで、結果的に従業員の意欲向上に繋がります。

実効性のある計画にするためには、プロジェクトチームを作成するなどして、施設や設備などのハード面の対策だけでなく、人材の確保や体制の整備などソフト面を整えておくといいでしょう。

BCPに取り組むメリット

BCPを取り組むことで以下のようなメリットが得られます。

・緊急事態の発生時に損害を抑えることができる

対策を行っていない企業は事業を継続できないこともあります。一方、BCPを策定することで、想定できるリスクに対して臨機応変な対応が可能です。すばやく対応することで、損害を最小限に抑えることができます。

また、BCPを策定する中で課題を抽出することで、自社の優先度の高い事業が明確になります。通常時の業務改善にもつながり、経営戦略の立案や見直しにも活用ができます。

・取引先からの信頼が高まる

緊急事態時の対策が整っていることで取引先からの信用度が高まります。市場の反応によっては事業が拡大することもありでしょう。また、こちらから取引先の選定をする際にも、先方のBCP策定の内容を確認することで、持続継続能力がある企業であるかどうかを評価することもできます。

・日常の業務改善につながる

事業環境の変化によりBCPのあり方も変わっていきます。BCPの見直しや改善には、日常の業務に負担をかけないような工夫が必要です。BCPの改善は、通常時の業務においても対応スピードの向上や、組織強化につながります。

長引く新型コロナウイルス感染症対策としてはもちろん、何が起こるか予測しづらい現代において、BCPの策定は重要な役割を果たすでしょう。この機会にBCPの策定を検討してはいかがでしょうか。

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