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マインドフルネスを組織開発に活かす

公開日:2021/05/10 更新日:2023/09/13

雑誌やネットなどでも注目されているマインドフルネスは、GoogleやAppleの外資系企業が社員向けに取り入れていることで話題になりましたが、日本企業においても健康経営の一環としてマインドフルネス研修を導入する企業が増えてきました。心身のバランスを崩しがちなコロナ禍においては、さらに注目が集まっています。

マインドフルネスとは

マインドフルネス(mindfulness)とは、一般に、「評価や判断を手放して、今、この瞬間に起きている現実を意識すること」とされています。みなさんも、「今、ここ」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

マインドフルネスには上座部仏教で行われている瞑想法に由来した仏教本来のものと、医療行為としてのアメリカ由来のものがあります。医療行為としては、1979年にアメリカの医師であるジョン・カバット・ジンが、臨床的な技法としてMBSR(マインドフルネスストレス緩和プログラム)を開発したのが起源とされています。MBSRは、慢性痛風やうつ病、身体的または精神的なストレスの軽減につながることが実験によって立証されています。

その他、ハーバード大学やカーネギーメロン大学などさまざまな大学で、マインドフルネスが前頭葉、海馬や小脳などに対してどんな効果があるのかという実験が行われています。その結果、大きく分けると「ストレスの軽減」「脳の活性化」「痛みの緩和」「老化防止」「うつ病や不安症の改善」に効果があると立証されていて、現在では、心身の健康に役立つ心のあり方として、宗教に関わりなくどんな人にも取り入れられるものと見られています。

なぜ今注目されているのか

このように、心身を健康に保つ効果が科学的に立証されていることからも、マインドフルネスは多くの企業から注目されています。

また、現在は新型コロナウイルス感染症によって、より注目が集まっています。コロナ禍による外出規制で人々の生活スタイルや人との繋がりが変化し、多くの人が不安と隣り合わせの生活を余儀なくされていますが、マインドフルネスは、コロナ禍から起こる疲れ、不安、ストレスを軽減できるというのです。実際、WHO(世界保健機関)が発行する「流行下におけるストレス対処」のパンフレットにある「自分の感情とうまく付き合っていくスキル」としてマインドフルネスを活用することもできます。不安やパニックから起こる発作や症状は、マインドフルネスの実践で改善すると言われ、自分自身を守る一つの手段として活用することができます。

マインズフルネスを能力開発に取り入れる意義

上記では、個人の不安やストレスを軽減するために有効的な手段として紹介しましたが、ビジネスの場ではどのように役立つのでしょうか。その影響について挙げてみます。

・一人ひとりの社員にもたらす影響

マインドフルネスを実践する人には、高い集中力、ストレス下での安定、対人関係における寛容性があると言われています。また過去や未来への思考や湧き上がる感情に振り回されることなく、現在の業務に集中でき、個人のパフォーマンスが高まります。

・組織全体にもたらす影響

自己認識と管理ができて、価値観が明確になっている状態は、リーダーシップの質を高め、周りにも良い影響を与えます。チーム内での感情の対立もおこりづらくなり「心理的安全性」のある生産性の高い組織への変化も期待できます。

とくに以下のような課題に有効です。

  • 次世代のリーダーを育成したい
  • アイデアを生み出したい
  • 個人の自己管理能力を高めたい
  • 組織のパフォーマンスを高めたい

マインドフルネスを取り入れるための研修内容

マインドフルネスがなぜビジネスに効果があり組織・人材開発に取り入れるのかを理解することから始まり、演習で体験しながら、演習で体験しながらどのように日常に取り入れるのかを学びます。

演習で体験する内容例

・瞑想

吸法を学んだうえで、その呼吸に意識を集中させ、心が落ち着いていく感覚を体験します。集中力向上、共感力向上、洞察力の向上などに効果的です。

・ボディスキャン

ボディスキャンは瞑想の一種で、意識を集中する場所を体の色んな部位に動かしていくトレーニング法です。仰向けになって目を閉じて、呼吸を感じます。普段は気にしない指先、喉など全身の感覚に意識を向けることを体験します。緊張緩和、ストレス軽減、自己認識力向上などに効果的です。

・リスニング

2人1組で話し手と聞き手を決めて行います。テーマを決めて話し手が自由に2分間話します。普段、私たちは人の話を聞く時に、否定をしたり、評価をしたり、全く別のことを考えていることもありますが、聞き手は話し手の話に集中することがポイントです。

話が終わったら、聞き手は聞いた内容を話し手に伝えます。話し手は内容が正しいか確認し、終わった後、リスニング中に感じたことをメモに残します。共感力の向上、人間関係の改善に効果的です。

・ジャーナリング

書く瞑想とも言います。自分のことを掘り下げることができるテーマを決め、制限時間内に浮かんだことをどんどん書いていきます。誤字・脱字は気にせずに書くことがポイントです。ストレスの軽減、集中力のアップなどに効果的です。

効果アップのポイント

マインドフルネスは続けることではじめて効果が得られます。習慣にするためには、最低8週間程度継続することがポイントです。効果アップのためには、日々の生活の中にマインドフルネスを組み込んでしまうことです。たとえば以下のようなこともマインドフルネスの一種です。

・エレベーターの中で呼吸を整える

数十秒〜数分ですが気持ちを整えるトレーニングになります。

・ひと駅歩く

この時、足の感覚を意識しながら歩いてみましょう。普段は見過ごしていた景色や道端の花など、気づきや発見があります。

・空を見上げる

頭の中の不安やモヤモヤが、消えていき、感情を「今、この瞬間」に集中することができます。

科学的に効果が立証されて、比較的簡単に実践できることから、健康経営の一環として全社員に広く導入する国内企業も増えているマインドフルネス。
社員の自律的な心身の健康管理のためにも、組織の活性化のためにも、取り入れてみてはいかがでしょうか。

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