失敗しない研修計画

コロナ時代に押さえておくべき「新入社員研修」のポイント

公開日:2021/02/15 更新日:2023/09/14

通常3月、4月は新入社員を迎えるための新入社員研修が実施される時期ですが、新型コロナウイルス感染症によって企業の研修スケジュールに大きな影響が生じました。新入社員研修にはさまざまなメリットがありますが、コロナ禍で改めて研修の意義が問われています。そこでコロナ時代に押さえておきたい新入社員研修のポイントを紹介します。

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withコロナの時代の新人研修にはどんな課題があるか

新入社員研修には「社会人として必要なスキル・知識の習得」「新人の早期戦力化」といったスキル面の強化と「早期離職の防止」というエンゲージメントを高めるメリットなどがあります。

これまでの新人研修は集合研修で行われることが当たり前でしたが、2020年の新入社員研修はコロナ禍において、オンライン研修、オンラインを活用した個別学習+集合研修の組み合わせ(ブレンディッドラーニングやハイブリッド研修と言われることもあります)など、それぞれの企業が初めての取り組みを行うことになりました。

今後、withコロナ時代に向けてオンライン研修と集合研修のそれぞれのメリットと特徴を生かした研修プログラムを考えていくことが求められています。

その一方で、オンライン研修に切り替わったことによる課題も見えてきました。
たとえば、一方向の講義になってしまいがちで、受講者のアウトプットの機会が少なくなってしまうこと、在宅続きで入社員同士のつながりが生まれにくく、人事担当者とのコミュニケーションも取りづらいため不安が生じやすいことなどが指摘されています。

最近の新入社員の特性

研修を受ける新入社員の最近の傾向についても考えてみましょう。

スキル面については、スマホを使うのが当たり前であり、デジタル慣れしていますが、パソコンスキルが不足気味とも言われています。スマホには慣れ親しんでいてもパソコンには慣れていない、Officeを使ったことがないなどの個人差はあると考えるべきでしょう。

コミュニケーション能力については全体的に高い傾向がありますが、ビジネスマナーやビジネス文章などの実践的なスキルには課題があり、研修や実践で強化することが課題とされています。

また、経済環境の育った時代背景によって、新入社員の仕事に対する価値観が大きく変わってきています。
令和元年に公益財団法人日本生産性本部が行った「新入社員働くことの意識調査」によると、「働き方は人並みで十分」が63.5%を占め、「若いうちは進んで苦労すべきか」という質問には「好んで苦労することはない」が37.3%で、過去最高とになっています。
また、「効率・つながり重視」、「ワークライフバランスを重視」、「仕事を通じた社会貢献の意識」、「成長できる仕事を求める意識」といった傾向も指摘されています。(2020年一般社団法人日本能率協会「Z世代を活かす経営」

このように価値観が大きく変化していることで、上司にあたる年齢層の人にとっての当たり前が新入社員にとって当たり前でないことがたくさんあります。
そのため、研修の進め方や、コミュニケーションの取り方・課題の与え方を「今」の新入社員の特性に合わせて工夫することも、研修担当者の課題となっています。

新入社員に獲得してほしい基本スキルとは?

企業によって内容の違いはありますが、社会人として身につけたい基本的なビジネススキルとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 社会人としての意識(学生から社会人になるための意識改革)
  • ビジネスマナー(あいさつや身だしなみなど社会人として信頼されるためのマナー)
  • 仕事の進め方(仕事の手順・組織の中での業務の進め方など)
  • ビジネス文書の書き方(ビジネス文章・メールの書き方)
  • コミュニケーションスキル(社会人としての「報・連・相」や相手に伝わる話し方・聞き方)
  • 周囲の人と協力し、信頼関係を構築する力
  • 自分で考える力(論理的に考える力・柔軟に発想する力)
  • PCスキル(Officeの基本的な操作など)
  • 自社・自社事業について知る(経営理念や自社の事業を知る)

新入社員研修のカリキュラムの作り方

新入社員研修で大切なのは、新入社員自身が「わからないこともあるが、この場所でトライしていこうと思えること」、そして、配属先でも「学んだことが実務に活かせていること」です。

そのために、まず研修の目的とゴールを決めますが、「入社時の新入社員研修後のゴール」ではなく、入社から1年〜3年後のゴールを長期的に考え、逆算することが必要です。
現場に配属する前に「どんなスキルや認識を持っていてほしいのか」など現場からの要望と、人事部門の考える育成ステップとをすり合わせて落とし込みます。 その後にゴールを達成するための研修計画を進めていきます。
研修内容・時間・日数・終了時の効果測定、講師などを決め、より具体的にしていきます。

これからのwithコロナの時代には、上記の内容に実施方法の策定も必要です。
机上で知識を獲得するような内容はe-ラーニングやオンラインで研修を行い、他メンバーとの議論や交流を深めたい、あるいは発言をもって効果を高めたい内容については集合研修を活用するなど、適した実施方法を決めます。

また、オンライン研修が中心となる場合には、意図的に自由な交流時間を設ける、個別にケアする役割の社員を設定するなど、新入社員の不安が生じやすいというオンラインならではの課題をフォローできる体制を整える必要があります。

その他新入社員研修を行う際の注意点

もう一つ、新入社員研修で重要なのは、新入社員の可能性を引き出す研修を行うことです。

「心理的安全性」というキーワードが注目されていることからもわかるように、他と異なる発言や、失敗や間違いもウェルカムな場を作ることが人・組織の成長を促進します。

新入社員研修においても、対象者の特性・大切にしている価値観を受け止めながら動機づけるような進め方が、より研修効果を高めます。育成する側には、新入社員の価値観を踏まえたうえで、研修を企画・実施することが求められます。


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