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5分でわかるビジネストレンドワード

「デザイン思考」とは?
概要・学び方・社内浸透の方法は?

最近、ネットやビジネス書などで「デザイン思考」という言葉を目にすることが増えているのではないのでしょうか。企業からも生き残りのためのイノベーションを起こす問題解決手法として注目されている一方で、「デザイン思考を取り入れてみたが、いまいち社内に浸透していない」という声を聞くこともあるでしょう。今回はこの「デザイン思考」の概要・学び方・社内への浸透方法についてご紹介します。

デザイン思考研修

デザイン思考とはどういうものか?

デザイン思考という言葉だけを捉えると、デザイナーなどのクリエイティブな人向けの思考と想像する人もいるかもしれませんが、アメリカのデザインコンサルタント会社IDEOによって提唱され世界に広がったもので、すべての人に開かれた問題解決手法です。

人々のニーズ、テクノロジー、ビジネスの視点から、潜在的な問題を発見し、解決策を考えるアプローチ、イノベーションプロセスであり、デザインの専門を越えてビジネスや教育で実践されています。デザインに必要な考え方や手法がデザイナーに限らず、ビジネスに関わるすべての人にとって必要とされているともいえます。

本来、デザインという語は、見た目の形に限らず幅広い意味を表します。しかし、「design(デザイン)」は日本語では「意匠」と訳されるため、この日本訳が誤解を招きやすく、日本で今ひとつ浸透していない理由の一つとなっています。

なぜデザイン思考が重要なのか?

日本はかつて、ものづくり大国、技術大国と言われていました。さらにモノが不足している中ではモノを作れば勝手に売れ、新しいモノが世の中に出るとユーザーは手に入れるだけで満足するというような時代もありました。

しかし現在は、物質的に豊かな社会になり、ユーザーのニーズは一定程度満たされた状態になっています。モノがあふれたこの時代では、モノが世に出ただけでは売れないのです。ユーザーの興味がモノを手に入れることから、モノを手にした後の体験・感情を満たす「コト」に対象が変わったと言えます。

つまり、昔は、企業側がマーケットの主導権を持っていましたが、現在は主導権がユーザーに移り、企業がユーザー視点に立ってモノを世に出さないと売れない時代になったのです。

過去の経験からの連続的な発想ではなく、非連続的かつユーザーの本質的ニーズに迫る発想が必要であり、ここに「デザイン思考」を企業に根づかせることの重要性が存在するのです。

デザイン思考の考え方とプロセス

デザイン思考では、売上や利益を目的とするのではなく、まずはユーザー視点で考えることがポイントになります。機能や性能だけでは売れない時代になったため、ユーザーの感情に訴えなくてはいけません。ユーザーに選んでもらえるように、共感を得るために「ユーザーが何を求めているのか」「ユーザーが何を解決したいと思っているのか」などとユーザー視点で物ごとを捉える考え方が必要です。

デザイン思考のプロセスは一般的には3〜5段階で表現されることが多いですが、考え方の本質は同じです。
ここでは3つのプロセスについて紹介したいと思います。

Observation(観察)

インタビューやアンケートなどでユーザーのことを把握します。自分自身で価値判断を入れずユーザーを観察し、ありのままを受け入れる視点を養います。ユーザーがどんな気持ちでアンケートに回答したのかなどユーザー視点で考えることが必要です。

Brainstorm(知識共有)

チームの中で問題・ニーズを導き出していきます。とにかく自由に意見を出し合うことが必要とされますが、広げるだけでなく、そこから深く掘り下げていくことが重要です。深掘りすることでユーザー自身も気づいていない解決すべき本質的問題が見えてくることがあります。

Rapid Prototyping(試作)

アイデアが固まったら完璧なモノを目指すのではなく試作品を作ります。Prototyping(プロトタイピング)とは検証・改善を重ねて優れたプロダクトに近づけていく手法です。考えるだけでなくまずは形にしてみることが重要で、形にすることで新たな問題点に気づいたり、アイデアがより具現化できたりします。

プロトタイプができたらユーザーに向けてテストを行い、検証・改善を繰り返すことでクオリティをより一層高めていきます。

デザイン思考を身につけるためにはどのような学び方があるのか?

座学、ディスカッションだけでは、結局は「形になる」部分が実感できず、頭では理解はしたものの、モヤモヤしたまま研修が終わってしまうことがあります。頭の中にアイデアが浮かぶものの表現できないとなると本末転倒です。
そこで表現まで含めてデザイン思考を体験できるワークショップ研修がおすすめです。

デザイン思考の3つのプロセスを研修の中で体感します。出題テーマに対して観察・知識共有・試作という流れで、研修の中でも完璧を求めずにまずは形にしていきます。

このように、学びの中でデザイン思考を体験していきますが、体験したことを実際に社内で実践していくことが重要です。実践を継続していくことで点が線となり、面となり立体へと変わっていきます。自分の中の考え方、モノの捉え方のフィールドを広げていくために、基礎編+フォローアップ編といった継続的な研修実施もおすすめです。

デザイン思考の社内浸透・定着

デザイン思考が日本で定着しにくい理由の中一つに「デザイン」という言葉が理解しがたいことがありました。

例えば、会社内にデザイン思考の考え方を取り入れたいと思っても、
「社内からの賛同が得られるかが不安・・・」
「実務に直結するイメージがつきにくい・・・」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで、デザイン思考の社内浸透アプローチの一例を紹介したいと思います。

ある通信系の大手企業ではデザイン思考の定着を図るなかで、社内から「当社はデザインとは関係ない」「デザインは私には関係ない」という反応を受けました。そこで、社内の共感を得るため、理解してもらうために「デザイン」という言葉を「顧客志向経営」に置き換えて社内研修を企画したのです。
その結果、社内からの賛同を得て研修を実施でき、受講したメンバーからは「デザイン思考と実務とのつながりが腹落ちした」との声が数多くあがりました。

この例のように、社内浸透には、共感を得ること・実際に体験してもらうことが必要です。そのためには前提として、経営者、もしくは人材開発担当者や教育担当者といった研修企画者が、自組織の置かれている状況に対して健全な危機意識をもち、社内人材がユーザー視点の本質的な発想方法を身に着ける重要性を理解することが求められます。そしてそれを社内やチーム内に対してメッセージとして発信することも必要となるでしょう。

まとめ

デザイン思考の概要、学び方、社内浸透についてご紹介しました。
特に学び方については、会社の業界や受講者の職種によって、出題テーマを貴社の実態に即したものにカスタマイズすることをおすすめします。
新たな発想手法を獲得するための選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。





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