東京急行電鉄インタビュー vol.1 経営人材像の5つのキーワードとは?

東京急行電鉄株式会社 人材戦略室人事開発部 ダイバーシティ・キャリア開発課課長の朝倉敦子様にお話を伺い、JMAがご支援している東急グループの経営人材育成体系と、その体系を継続するなかでの成果や新しい取り組みについてご紹介いただきました。JMA 副島一隆がインタビューします。(文中敬称略)

経営人材像の5つのキーワードとは?

(副島)
先ず、今現在の朝倉さんのお立場と役割について教えていただけますか。

(朝倉)IMG_9450
私は、東急電鉄の人材育成方針の立案と、その企画、運営全般を担当しています。また、東急電鉄グループ、連結対象会社の人材育成の支援にも関わっています。

(副島)
今回聞かせていただきたいのは、東急グループさんのリーダー育成を目的とした教育研修についてです。
東急グループさんには東急アカデミーという社内のビジネススクールがあり、経営人材育成のための選抜教育を4階層に渡って実施されているようなのですが、4階層というのは具体的にどの階層になりますか?

(朝倉)
体系図1番上が東急電鉄の新任執行役員及び主要連結会社の新任取締役クラス、いわゆる経営幹部クラスを対象としたものになります。
次が、東急電鉄及び、連結主要会社の執行役員、及び取締役候補群の方達で、今の部長クラス、場合によってはもう執行役員になられている方もおられますが、そのクラスの方を対象にしたものになります。
その下が、東急グループの主要会社を対象とした、部長、あるいは部長候補群の方達で、今の課長クラス、場合によってはすでに部長になられている方もいらっしゃいますが、そのクラスの方を対象にしたものになります。

そして、一番下の階層が、東急グループの主要会社の管理職、マネージャー登用前の方達で、年齢でいうと30代半ばぐらいの方を対象にしたものです。(右上図参考:東急アカデミー体系 ※クリックすると拡大表示されます)

(副島)
非常に手厚く経営人材の教育をやられている印象です。この4つの階層それぞれに教育の目的やゴールが設定されていると思うのですが、そもそも東急グループさんとして、「経営人材」というものをどのように定義をされているのか教えていただけますか。

(朝倉)
色々な考え方があるかと思いますが、東急アカデミーにおいて定義をしている経営人材像について5つのキーワードがあります。
1つがビジョンを示すということ。2つは変革を推進するということ。3つ目に周囲に働きかけるということ。4つ目に意思決定する。そして5つ目が、自ら成長し学習し続けるとしています。成長というのは挑戦、それは新しい事業への挑戦ということでもあると思います。

(副島)
5つのキーワードで経営人材像を明確に定義されているのですね。
そういった人材像を基に構成されている東急アカデミーですが、アカデミー共通の目的を教えていただけますか?

(朝倉)
東急アカデミーの共通の目的は、大きく2つあります。
1つは、変革性と創造性に溢れた次代の経営人材をグループから早期に発掘をして育成をしていくこと。
2つ目は、そういった方々に日頃の仕事を離れてOff-JTの場面で大局的な事業観を身につけていただくような場を提供すること。
この2つだと考えております。

中堅リーダー育成プログラム 新設の背景

(副島)
ありがとうございます。ここからは、東急アカデミーの4階層の内のいちばん若い階層のコースである「ALDP」について詳しくお話を聞かせていただきたいと思います。このコースが3年前に新設されるにあたって、どのような背景があったのでしょうか?

(朝倉)
JMAさんと一緒に取り組んできた上の3階層は、2006年から始めて、2015年で10期目です。ALDPを企画したのは7期を終えたところだったかと思いますけれども、この上の3階層は一定の成果を出して育成することができたと思っております。

(副島)
「一定の成果」というのは、具体的に言うとどういったことですか?

(朝倉)
アカデミーの卒業生から、関連会社の社長、あるいは経営幹部になられている方が出始めているということだと捉えています。

(副島)
なるほど。それは支援させていただいている我々にとっても非常に嬉しい成果です。

(朝倉)
ただ、JMAさんに支援いただいていた一番若い層、今でいう下から2番目のクラスの受講者年齢が平均で40代半ばだったのです。確かに経営人材候補として見るならば、40代半ばから教育を始めてもいいのでしょうけれども、グループ会社それぞれの人材育成体系をヒアリングして現状を確認してみたところ、こういうマネジメントスキルを学び始めるのは東急アカデミーが初めてだったのです。

グループ各社も当社(東急電鉄)もマネジメントスキルを学ぶ場がなかったので、果たして40代半ばで初めてヒト、モノ、カネという経営資源や、事業を構築するスキルを学ぶのでいいのだろうかという問題意識がありました。

30代の間は事業の最前線にいて、事業の課題や成長の可能性など、一番お客様に近いところで触れて、色々な想いが出てくる時期だと思うのです。

このタイミングで事業を組み立てられる力を持っていて、それをやろうと思う気概がある人たちを育てられたら、実際どれだけ多くの変革の志士を東急グループから生み出せるかなという、そんな想いがありました。

(副島)
想いが強い時に、すぐに動き出せるというのは重要ですよね。

(朝倉)
私自身も30代半ば、事業部門に所属していてたまたま新規事業を企画、立案するチャンスに恵まれました。その時は事業の組立てにおいて何を考えればいいのか、まだまだ足りないながらも、試行錯誤をしながら進めていました。なので、30代のあたりで、ヒト、モノ、カネについて、ある程度学んでおいたほうが良かったなと今になって思います。

また、日頃の仕事からちょっと離れて自分の事業を俯瞰したり、会社の将来のことを考えるという場を持っておくだけで、がらりとその後の仕事の仕方が変わってくるというのを、自分の経験からも感じていました。それをOJTを通じて経験するというのは一番良いのですけれども、全員が経験できるわけではありません。またOff-JTという場で、敢えて仕事の忙しさからも離れる時間をつくることによって、多分仕事に戻った時も思考の仕方が変わってくると思うんですよ。もちろん目の前の仕事に労力を割いていくには変わりないのですけれども、仕事の時間の1割ぐらいは将来についてちょっと想いをめぐらすようになると思うのです。

例えば、自分の仕事を隣の担当の仕事と連携させるとどんな大きなことになっていくかとか、会社全体を考えると自分はどうしていけばいいかとか、もう少し俯瞰して大局的に考えられるようになると思うのです。

~つづく(1/4)~

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