強みを活かす新事業開発 第2章新事業探索 ビジネスチャンス探索②

2その1前回に引き続き、ビジネスチャンス探索のアプローチを解説する。複数のビジネスチャンス探索アプローチを組み合わせることで、探索範囲のモレやヌケをなくす。

5.ニーズ/シーズマトリックス

新事業の基本は、市場や顧客ニーズと自社技術などの経営資源(シーズ)を結合させることである。ニーズ不在の新事業は成立しないし、ニーズがあっても自社資源が活用できなければ強みを発揮できない。外部情報収集で得られたニーズと自社のシーズを縦軸、横軸にとってマトリックスを作成し、ニーズとシーズそれぞれをアイディアフックとして、マトリックスの交点で考えられそうな新事業を発想する。

新事業2-1-2①

マトリックスは以下の2つの特徴がある。
集中化:マトリックスの交点単位にアイディア発想するため視点が絞れ、考える対象をイメージしやすくなりアイディア発想がスムーズになる。
総当り:マトリックスのマス目ごとに、すべてのアイディアを考えることで、とにかく多くのアイディアを得ることが出来る。
まずは、できるだけ多くの新事業アイディアを発想する。

6.SN変換

「SN変換」とは、従来は存在しない新商品・新用途のアイディア発想を円滑にするために、自社の技術的な特性(Seeds)を「顧客にどのような利点(機能)を与えうるか」という顧客側の言葉(Needs)に変換し、新たな使い方を抽出するための発想技法である。技術を強みに持つ企業の新事業では、「自社の技術を使った新事業は?」という発想に立つ。しかし、自社の技術は既存事業のために研ぎ澄まされた技術であるため、その技術を何か他に使えないか?と考えても発想に限界が出る。新たな用途や市場では、”帯に短しタスキに長し”といった状態となる。そこで、技術(Seeds)をそのままの表現で発想するのではなく、その技術が顧客にどのような利用価値をもたらすかといった視点で変換する。顧客にとっての利用価値、顧客のうれしさをNeedsとして捉える。1つのSeedsで1つのNeedsを達成しているものもあれば、複数のSeedsで1つのNeedsを達成しているものもある。図の左側に示すようにマトリックスで対応関係を示す。

新事業2-1-2②

図の右側は、NeedsMarketのマトリックスである。このフレームは強制発想法という発想法の一種である。強制発想法とは、キーワードを設定してアイディアを強制的に出していくやり方で、そのキーワードがSN変換ではNeeds表現である。そしてマトリックスの各セルで新商品・新用途を発想する。SN変換もニーズ/シーズマトリックスと同様、集中化と総当りを狙っており、まずはアイディアの数を優先している。

7.先行指標

新事業は0から発想するのは難しい。「先行指標」とは、異業種、異分野や海外で先に実施されている事例をヒントとして自業界に活用できないかと検討する方法である。たとえば、家庭用の製品の多くは、業務用で先に実用化されている。そうなると業務用機器の中でまだ家庭用になっていないものは何か?という着眼である。環境・エネルギー関連では、欧州ですでに実用化されている事例を日本に取り込めないか、新興国関連では東南アジアですでに実用化されている事例をアフリカに導入できないか、という着眼である。回転すしチェーンで採用されている方式をレストランで導入できないかといった発想も有効である。

関連プログラム

新事業開発・開発推進

著者

池田 裕一(いけだ ひろかず)

日本能率協会コンサルティング(JMAC)技術戦略センター チーフ・コンサルタント
JMA公開セミナー 新事業開発実践力養成コース/BtoBマーケティング基礎セミナー/
マーケティング分野オンラインセミナー講師。

機械販売会社の財務部門を経て、1990年株式会社 日本能率協会コンサルティングに入社。以降、一般企業を対象とした新商品・新規事業企画、新サービス開発、事業立上げなどのコンサルティング、研修、講演にあたる。

 

バックナンバー

序章
第1章 その1
第1章 その2
第1章 その3
第1章 その4
第1章 その5
第1章 その6
第2章 その1

 

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