強みを活かす新事業開発 第2章新事業探索 その1ビジネスチャンス探索①

2その1今回からいよいよ新事業を探すステージに突入する。ビジネスチャンス探索とは、新事業企画開発に先立ち、ビジネスチャンス(事業機会)がどのあたりにあるかを幅広く探すことである。幅広く探すためには、前回決めた探索視点に基づいたアプローチを実践する。自社の業種によってもアプローチ方法が異なる。主なアプローチ方法を右に示す。

 

1.マクロ環境インパクト

マクロ環境インパクトは、「探索ガイドラインの設定 その1 環境変化とインパクトの把握」で述べたように、マクロトレンドのキーワードを掴み、その変化の方向から自社にとっての事業機会を把握するものである。日々の業務は比較的ミクロの視点になりがちであるため、意識して視野を広げてみることを心がける。金属の微細加工技術を得意とする電子部品メーカーで自社技術を使った新事業を検討したとき、「自分たちは電子部品メーカーだから」という先入観が働き、電子部品の中で何かないかという思考に陥った。金属の微細加工という技術は、電子部品以外に音響機器や医療機器、さらには鉄道模型などのホビーの分野でも使われている。自ら制約を設けずに可能性を広く捉えることが大切である。

2.見過しニーズ

BtoBビジネスでは、ジャストアイディアや自分が欲しいと思ったことがきっかけで事業が生まれることはまず無い。BtoBビジネスは顧客の課題があって初めて需要が起きるからである。需要の兆しは、顧客からの問合せ、特に変わった問合せから始まることが多い。これまで社内に入った問合せで「ちょっと変わった問合せ」「異業種からの問合せ」を洗い出してみるとよい。既存事業から見ると、これらの問合せ対応は面倒で手間がかかるため、後回しにしたり忘れてしまったりすることが多い。しかし新事業から見ると、こうした問合せが新事業のタネなのである。前述の電子部品メーカーでも営業部門、開発部門にこれまでの変わった問合せの聞き取りをしたところ、「医療用の針ができないか」という問合せ複数の担当者から出てきた。

3.現場観察

新事業のタネは顧客の現場に落ちている。顧客の潜在ニーズを探るには、開発者自らが顧客を観察して、顧客の課題を仮説として持つことが不可欠である。ただ、顧客の現場を漠然と見ていても非効率であるため、顧客の行動プロセスや業務プロセスを分析して、面倒な作業やコストのかかる作業を洗い出し、改善プロセスを想定する。その際のポイントは”当たり前の否定”である。顧客は長年そのプロセスや製品に慣れているので当たり前と思っているが、「なぜそのプロセスで無いといけないのか」「その製品が無かったらどうなるか」といった点で潜在ニーズを掘り起こす。また、現場で顧客にインタビューを行うことで「やりたくないが嫌々やっていること」「やりたいけど諦めていること」「やっていて不安なこと」を聞き出す。

4.上位システムニーズ

BtoBビジネス、とりわけ部品・素材のメーカーのビジネスチャンスは現場観察や利用者インタビューだけでは得られにくい。なぜなら、部品の上位システムとして完成品システムがあり、完成品の上位システムとして業務システムがある。それぞれのレベルにニーズがあり、そのニーズが下位のシステムレベルに影響を与えるからである。
よって、狙うべき事業はどのシステムレベルに属するか?上位のシステムレベルのニーズは何か?どう変化するか?を分析しないと自社のビジネスチャンスには結びつかない。

1-2

次回はビジネスチャンス探索②として、「シーズニーズマトリックス」、「SN変換」、「先行指標」を解説する。

関連プログラム

新事業開発・開発推進

著者

池田 裕一(いけだ ひろかず)

日本能率協会コンサルティング(JMAC)技術戦略センター チーフ・コンサルタント
JMA公開セミナー 新事業開発実践力養成コース/BtoBマーケティング基礎セミナー/
マーケティング分野オンラインセミナー講師。

機械販売会社の財務部門を経て、1990年株式会社 日本能率協会コンサルティングに入社。以降、一般企業を対象とした新商品・新規事業企画、新サービス開発、事業立上げなどのコンサルティング、研修、講演にあたる。

 

バックナンバー

序章
第1章 その1
第1章 その2
第1章 その3
第1章 その4
第1章 その5
第1章 その6

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