管理能力評価の有効なツール:アセスメント・センター・メソッド

アセスメント・センター・メソッド(以下、ACMまたはアセスメント・プログラムと略す)をご存知でしょうか。

この手法が日本に紹介されたのは1970年代のことですからご存知の方も多いと思いますが、「昇進昇格試験となっているから」「過去から当社がやっているから」という理由で知っているだけであるという方もいることと思います。

本年より、一般社団法人日本能率協会(以下JMA)は公開セミナーにアセスメント・プログラムを追加することとしました。

そこで、JMAはACMをどのようにとらえ、皆様のお役に立とうとしているか何回かに分けてお話しして行きたいと思います。

アセスメント・センター・メソッド(ACM)が導入されてきた背景

人の能力を評価するという歴史は古く、組織を率いる者にとって、いつの時代も優先順位と関心の高いマネジメントアイテムであると言えます。
なぜなら、組織を大きくし、強くすることができるのは人そのものだからです。

従って、人の能力をしっかりと評価して適材適所に配属させることは経営上きわめて大きな検討事項となります。

それでは、人の能力をもっとも的確に測る方法は何でしょうか。

それは実際にその地位に就けて仕事をさせることです。

社長の能力があるかどうかは社長にしてみればわかりますし、課長の能力があるかどうかも課長をさせてみればわかります。
置かれた環境に対して相応しい行動を行い、求められる以上の成果を出せるなら、そのひとは「能力が有る」と判断できます。

「やらせてみれば、能力はわかる」という、簡単な理屈です。

しかし、こうしたことは実際できるかというと簡単ではありません。

かつては、そうしたことが出来た時代はあったのかもしれません。たとえば、高度成長期には、極論を言えば、ある程度の人ならば社長や課長を任せても相応の成果が期待できた時代だったかもしれません。全体のパイが広がる中、競争も緩やかで、仮に競争に負けても挽回のチャンスは現在に比べ残されていたように思います。

ところが低成長時代に入り、競争が厳しくなりますと「まずは社長や課長をやらせてみる」とはいかなくなります。なぜなら、マネジメントの仕事(社長も課長もマネジメントであるということでは同じ)は組織の業績に大きな影響を与えるため、適切なマネジメントによって組織が運営されないと、市場での敗北に直結するリスクが大きいからです。そして、その敗北は極端な場合、倒産となって表面化する。こんな厳しい時代となったため、「まずは社長や課長をやらせてみよう」ということはなくなり、「社長や課長をできる人を、その地位に就任する前に厳選して見極める」必要が生まれてきました。

アセスメント・センター・メソッド(ACM)は1980年代以降に、このような時代背景のもとで少なからぬ企業に導入され、今日に至っています。

アセスメント・センター・メソッド(ACM)は「もっとも正確な能力測定」

ACMは一義的には能力を測定する仕組みです。

ACMの測定の方法は行動観察法をベースとしていることが特徴です。

能力を測定する仕組みにはACMの他に「適性検査のペーパーテスト」や「面接法」がありますが、もっとも正確な能力測定はACMであるとされています。ACMの信頼性は70%を優に超えるとされています。

適性検査は回答法による能力評価です。設問に対しての評価対象者の回答を元にして評価します。対象者の回答はどうしても本人の記憶や思いを排除できません。よって、信頼性は50~60%が限界であるとされています。適性検査の信頼性については、このようなデータに頼らなくてもお読みの皆さんも自分の周囲にいる自意識の強い人を思い浮かべていただければお分かりになると思います。自意識の強い人、逆に自意識の低い人の自己評価は信頼性が高いとは言えないでしょう。そこに、適性検査の限界があるといえるのではないでしょうか。

また、面接法による能力評価ですが、これは過去の行動を聞き出して評価することとなります。現在でも採用面接、昇進昇格面接など多く用いられています。面接法はそれなりの信頼性はあり、訓練された面接者による面接では60%以上の値を確保していると言われています。しかし、面接法は企業における能力評価の要望が「就任前に就任する仕事についての能力評価」であるにもかかわらず、対象となる事柄は「過去の仕事(または生活)での行動」であるため、「優秀な担当者であることはわかったのだけれど、優秀なマネージャーではなかった」ということが起こりえます。面接法にも構造的な限界があるのです。

そこで、対象職務をモチーフとしたシミュレーション演習に対する被評価者の取った行動を、訓練されたアセッサーが行動観察して評価するアセスメント・センター・メソッド(ACM)の出番となるわけです。

ACMは現時点では最強の能力評価ツールであると言っても過言ではありません。

アセスメント・センター・メソッド(ACM)の3つの要素「アセスメント・トライアングル」

ACMは3つの要素で構成されます。

  • ディメンション:能力要件のこと。対象となる職務に必要な能力を一覧表にしたもの。
  • シミュレーション演習:対象となる職務を模した演習。種類は主なものに集団討議(GD)やインバスケット(IB)、面接演習(IS)、方針立案発表演習(VP)、背景面接(HS)などがあります。
  • アセッサー:評価者。訓練と経験を積んだ行動観察法による能力評価の専門家。アセスメント・レポートの記述者でもある。

私たちはこの3つをアセスメント・トライアングルと呼ぶことにし、その各々を充実させて人材育成を目指した人材評価に向けて磨いていくことを目標にしています。

先ほど「ACMは最強の能力評価ツールである」としましたが、私たちは、ACMの持つ潜在的な可能性はまだまだ大きいと感じています。

次回はもう少し詳しくACMについて解説し、JMAアセスメントの目指すものを説明したいと思います。

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